2001 Fiscal Year Annual Research Report
一次視覚路におけるアセチルコリン神経の証明と機能解析
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13671831
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安原 治 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教授 (80239772)
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Keywords | アセチルコリン / コリンアセチル基転移酵素 / 網膜神経節細胞 / 選択的スプライシング / 免疫組織化学 / RT-PCR / 逆行性トレーシング法 / 酵素活性 |
Research Abstract |
最近、我々は神経伝達物質・アセチルコリンの合成酵素、コリンアセチル基転移酵素(ChAT)に、選択的スプライシングによる亜型が存在することを見い出し、末梢型ChAT(pChAT)と命名した。その後の検索により、pChATは末梢の副交感神経のみならず、網膜の神経細胞にも発現することを確認した。本研究は、網膜のpChAT陽性細胞の特質を明らかにし、視覚系におけるコリン作動性メカニズムの関与とその意義を解明することを目的とする。 この目的の達成のために、平成13年度は下記の実験を行い成果を得た。 1.逆行性トレーサーを上丘に投与し、pChATとの二重染色を行うことにより、陽性細胞が網膜神経節細胞であることを証明した。 2.網膜と視神経のChAT活性を測定したところ、網膜に極めて高い酵素活性が検出され、視神経にも活性を認めた。しかしながら、網膜にはChAT陽性のアマクリン細胞が存在し、また視神経に中枢由来のChAT陽性線維が分布する可能性が否定できず、pChAT由来の酵素活性を確定出来なかった。そこで、視神経の神経遮断実験を行ったところ、視神経のChAT活性は眼球側での神経遮断で一時的に消失し、視交叉直近での神経遮断で残存した。以上の結果から、視神経には網膜神経節由来、すなわちpChAT由来の酵素活性が存在することが証明できた。 3.RT-PCR法により、網膜にpChAT型のmRNAが発現していることを確認した。 以上の結果は、視覚情報伝達におけるコリン作動性メカニズムの関与を示唆するものである。平成14年度は、以上の知見をさらに進展させ、視覚系におけるpChAT陽性細胞の機能的意義を追求する予定である。
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