2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671846
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大黒 浩 弘前大学, 医学部, 講師 (30203748)
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Keywords | 網膜変性 / RCSラット / 視細胞 / ロドプシンキナーゼ / Ca拮抗財 / アポトーシス / 網膜電位図 / 神経保護 |
Research Abstract |
網膜色素変性症は遺伝性進行性の網膜変性疾患で、未だ有効な治療法は確立されていない。本症の分子病態に、種々の網膜視細胞由来の遺伝子に異常があり、これが視細胞機能異常を引き起こすことで最終的に視細胞がアポトーシスにより傷害されることが分かってきた。従ってこの網膜視細胞のアポトーシスを引き起こす分子メカニズムを理解することは、本症に対する新しい治療法を考えるうえで必須と考えられる。 最近我々は、網膜色素変性症のモデル動物であるRCSラットの網膜変性の過程で網膜特に視細胞における構成蛋白質を2次元電気泳動という方法で検討したところ、従来からいわれていた網膜色素上皮細胞の異常に加え、視細胞のロドプシンキナーゼおよびα-crystallinが正常に比べその発現が低いことがこの網膜変性の分子病態に係わる可能性を示唆した(Invest Ophthalmol Vis Sci 1999, 40 : 2788-2794)。 そこで今回さらにロドプシンキナーゼおよびα-crystallinの異常が(1)どのような分子メカニズムで視細胞のアポトーシスを引き起こし、(2)従来からいわれている色素上皮の異常とどう係わるかを明らかにする目的で検討したところ、RCSラットの網膜変性ではアポトーシスを促進させるカスパーゼの活性が上昇しており、カルシウム拮抗剤の二ルバジピンの投与によりロドプシンキナーゼの発現の回復やカスパーゼの抑制が見られることが判明し、今後二ルバジピンが網膜変性の進行を悔いとめうる可能性が示唆され、さらに検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Maeda, A., H.Ohguro, et al.: "Induction of antitumor cytotoxic T lymphocytes with recoverin, cancer-associated retinopathy antigen, related with a preferable prognosis in paraneoplastic syndrome"Eur J Immunol. 31. 563-572 (2001)
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[Publications] Maeda T., et al.: "Mechanisms of photoreceptor cell death in cancer-associated retinopathy"Invest Ophthalmol Vis Sci. 42. 709-712 (2001)
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[Publications] Ohguro et al.: "Retinal dysfunction in cancer-associated retinopathy is improved by Ca2+ anatagonist administration and dark adaptation"Invest Ophthalmol Vis Sci. 42. 2589-2595 (2001)
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[Publications] Maeda T, Maeda A, Maruyama I, Nakazawa M, Ohguro H: "Molecular mechanisms in quenching pathway of vertebrate and invertebrate photoreceptor cells"Recent Res Devel. Photochem. Photobiol. 5. 175-180 (2001)
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[Publications] 丸山幾代, 中沢 満, 大黒 浩: "緑内障性視神経障害の分子病態における自己免疫機序"日眼会誌. 105. 205-212 (2001)
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[Publications] 大黒浩, 丸山幾代, 中沢満: "網膜色素変性に対するニルバジピンの効果の検討"眼科. 43. 1849-1853 (2001)
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[Publications] 大黒浩, 山崎仁志: "眼科診療プラクチス"モデル動物を用いた癌関連網膜症の分子病態の解析. 105 (2001)