2001 Fiscal Year Annual Research Report
新たな瞳孔径調節機構の解明:内因性ペプチドの関与、生理学・分子生物学的解析
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13671861
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山本 隆一 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (10094111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 惇 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (10040247)
浅田 祐士郎 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (70202588)
直井 信久 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (50211412)
岡野 真弓 九州保健福祉大学, 保健科学部, 助手 (80320498)
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Keywords | 瞳孔径調節機構 / 瞳孔括約筋 / 平滑筋 / 活性ペプチド / アドレノメヂュリン / 受容体 / 細胞内情報伝達系 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
新たな瞳孔調節機構の解明を行うため、成熟したウシ眼球から摘出した瞳孔括約筋に対する内因性ペプチド、アドレノメデュリンの効果を検討した。アドレノメデュリンは、52個のアミノ酸からなる降圧ペプチドとして発見され、その構造はカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に類似している。アドレノメデュリンは副交感神経系刺激による平滑筋収縮には影響を与えないが、静止張力を用量依存的に低下させた。このアドレノメデュリンの静止張力低下作用は、アドレノメデュリン受容体遮断薬であるadrenomedullin(22-52)で有意に抑制された。また、adrenomedullin(22-52)とCGRP受容体遮断薬であるCGRP(8-37)の併用処置で、アドレノメデュリンの静止張力低下作用は、ほぼ遮断された。したがって、アドレノメデュリンの反応は、アドレノメデュリン受容体を介する反応であること、またアドレノメデュリンの効果は一部CGRP受容体を介する反応であることが明らかとなった。さらに、アドレノメデュリンの細胞内情報伝達系を検討するため、アデニィレートサイクラーゼ阻害薬、一酸化窒素(NO)合成阻害薬、可溶性グアニレートサイクラーゼ阻害薬、およびNO感受性ホスフォディエステラーゼ阻害薬の効果を検討し、アデニィレートサイクラーゼおよびNO-可溶性グアニレートサイクラーゼ経路の両者が関与している結果を得た。したがって、アドレノメヂュリンには、交感神経興奮時に瞳孔括約筋を弛緩させ散大筋収縮を増強する生理活性があることが明らかとなった。本年度は予定を変更し、狂牛病のため標本入手が困難となる前に生理作用解明を主体に実験をおこなった。さらに、ウシ眼球の入手困難が持続する場合を想定し、来年度に分子生物学的および形態学的検討をおこなうための準備として保存サンプルの作成をおこなった。
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