2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫におけるNGFシグナル伝達の解析と治療戦略への応用
Project/Area Number |
13671865
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松永 正訓 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (80302561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸地 克憲 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (40312938)
吉田 英生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60210712)
大沼 直躬 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50125910)
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Keywords | 神経芽腫 / NGF / trk A / アデノウイルス |
Research Abstract |
神経芽腫の生物学的特性を決定付ける様々なgenetic eventと神経分化に関与するプロト癌遺伝子の発現のうち、腫瘍細胞におけるNGF (Nerve Growth Factor)のシグナル(trk A,神経特異的src)の発現の有無は、患児の予後に密接に関連する。本研究では、trk A全長cDNAを用いtrk A発現アデノウイルスを作成し、これを神経芽腫培養細胞に感染させ、NGF処理により神経分化誘導のモデルを確立する。 ヒトtrk A cDNAをアデノウイルス・コスミッドカセットに組み込み、大腸菌に感染させシングル・クローンを得た。これを親ウイルスと共に293細胞に感染させ、組み換えアデノウイルスを作成した。本ウイルスをMutiplicity of Infection (=moi, プラーク形成単位細胞)を5から80まで段階的に調節し、神経芽腫培養細胞RT-BM-1に感染させpan-trk抗体を用いてWestern blottingを行ったところ、 moiに応じてtrk A蛋白の発現が確認された。そこで、N-myc遺伝子の増幅の無い神経芽腫培養細胞SK-N-SH, NB69と、N-myc遺伝子が増幅した神経芽腫培養細胞RT-BM-1,IMR32,GOTO,LA-N-5,NB-1,cNBIにmoi=5、20、80でウイルスを感染させ、NGFを50,100,150,200ng/mlの濃度で処理し、分化誘導の変化を検討した。この結果、NB-1において感染後2週間でganglion-like clusterの形成と太く長い神経突起の伸張といった形態的な神経分化が誘導された。コントロールウイルスでは同様な変化は見られず、NGFを投与しないtrkA発現ウイルスのみの感染では短い神経突起の伸張のみが認められた。
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