2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎児麻酔が出生後の生体反応に与える影響に関する実験的・臨床的研究
Project/Area Number |
13671869
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 健 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (50294921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 晶俊 九州大学, 医学部附属病院, 医員
田口 智章 九州大学, 医学部附属病院, 助教授 (20197247)
水田 祥代 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30038856)
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Keywords | 胎児麻酔 / 生体反応 / サイトカイン / コルチゾール / 先天性横隔膜ヘルニア / 新生児外科 |
Research Abstract |
【実験的研究】 <対象・方法> 妊娠ラットに塩酸モルヒネ(3mg/kg)を腹腔内投与後、ベントバルビタールにて全身麻酔を行い、帝王切開により胎仔を娩出。臍帯クランプ前に24G血管内留置針外筒を用いて気管内挿管した。その後、人工呼吸管理下(呼吸条件FiO2 1.0,PEEP/PIP=2/15,RR40)に、出生直後、3時間後に犠死せしめ、心腔採血により血液を採取し、炎症性サイトカインのIL-6と抗炎症性サイトカインのIL-10の血中最度をELISA法により測定した(胎仔麻酔群)。コントロール群として母体をエーテルとペントバルビタールで麻酔し帝王切開により出生させた新生仔ラットを用い、同様にサイトカインを測定、比較検討した。 <結果> コントロール群の胎仔血中IL-6値は出生直後74.1±19.8pg/ml、3時間後183.0±66.5pg/mlと3時間後に有意に上昇していたが、胎仔麻酔群では出生直後81.7±46.5pg/ml、3時間後86.4±46-8pg/mlとIL-6値の上昇がみられず、モルヒネによる抑制効果と考えられた。IL-10に関しては両群ともに上昇し有意差を認めなかった。 【臨床的研究】 <対象・方法> 母体への塩酸モルヒネ(20〜3mg)投与による胎児麻酔下に帝王切開にて出生した横隔膜ヘルニア根治術症例(I群:6例、全例開腹)と帝王切開にて出生した開腹術症例(II群:9例)とした.両群とも出生後24時間以内に手術が施行された。手術侵襲度はOxford Surgical Stress Scale(SSS)を用いて評価した.生体反応の評価項目として、血中CRP値(術前、術後1、2、3日目)、血中コルチゾール値(術前、術後0、6、12、24時間)、血中IL-6値(術前、術後0、3、6、12、24時間)を測定した。 <結果> SSSには群間に差はみられなかった。CRPでは術前に差はなく、術後はI群がII群よりも低値で推移し、術後2日目に有意な差(I群:0.77±0.21mg/dl ; II群:3.68±0.84mg/dl, p=0.0161)を認めた.コルチゾールは、術前よりI群がII群より低値であり、II群が術直後にピーク(25.0±2.5μg/dl)となるのに対し、I群では明確なピークを認めなかった(術直後:2.9±0.5μg/dl, P<0.0001 vs II群)。IL-6では術前は、I群がII群より低い傾向がみられ、II群では術直後又は12時間後にピーク(462.5±82.5pg/ml)となるのに対し、I群では術直後にわずかに上昇したが(84.5±27.2pg/ml, P=0.0032 vs II群)、以後も低値で推移した。胎児麻酔により術後のCRP、コルチゾール、IL-6の上昇は抑制されており、胎児麻酔が手術侵襲に対する生体反応を制御する事が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nakamura M, Suita S, Yamanouchi T, Masumoto K, Ogita K, Taguchi S, Uesugi T: "Cortisol and cytokine responses after surgery in different age groups of pediatric patients"Pediatric Surgery International. 19(In press). (2003)
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[Publications] Suita S, Yamanouchi T, Masumoto K, Ogita K, Nakamura M, Taguchi S.: "Changing profile of parenteral nutrition in pediatric surgery : a 30-year experience at one institute"Surgery. 131(1 Suppl). S275-S282 (2002)
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[Publications] Suita S.: "Mass screening for neuroblastoma in Japan : lessons learned and future directions"Journal of Pediatr Surgery. 37(7). 949-954 (2002)
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[Publications] Taguchi T, Suita S, Ohkubo K, Ono J.: "Mutations in the sulfonylurea receptor gene in relation to the long-term outcome of persistent hyperinsulinemic hypoglycemia of infancy"Journal of Pediatr Surgery. 37(4). 593-598 (2002)
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[Publications] Taguchi T, Yamada T, Nakao M, Ogita K, Nishimoto Y, Suita S.: "Cytokine response after segmental small intestinal transplantation comparison of jejunal and ileal grafts"Transplant Proceeding. 34(3). 1052 (2002)
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[Publications] 水田祥代, 山内 健: "静脈栄養の実際-外科的疾患"周産期医学. 32(11). 1512-1516 (2002)
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[Publications] 山内 健, 水田祥代: "コメディカルのための静脈・経腸栄養手技マニュアル 3-II 小児に対する静脈栄養の特徴と実際"株式会社 南江堂、本郷充彦 日本静脈経腸栄養学会編. 27 (2003)