2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス歯胚の分化過程における細胞膜シアリダーゼの局在
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13671892
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋田 博敏 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10108540)
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Keywords | 細胞膜シアリダーゼ / 歯胚上皮 / トランスジェニックマウス / 免疫組織化学 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
(研究目的)動物由来シアリダーゼの生物学的な役割を解明すること。その一環として歯胚の分化過程における細胞膜シアリダーゼの関わりを明らかにする。平成14年度は、継続課題の2年目にあたり、本酵素のヒト由来cDNAを導入したトランスジェニックマウスの切歯歯胚について、以下の3点を検討した。 (1)本酵素の局在を、免疫組織化学的手法により電子顕微鏡レベルで検討した。 (2)本酵素の発現量が、歯牙形成過程の各ステージで相違するか否かを、免疫組織化学的手法により光学顕微鏡レベルで検討した。 (3)ヒト由来の本酵素を強制発現させたことにより、歯牙形成にどのような影響が出るか、パラフィン切片を用いて組織学的に検討した。 (研究結果)(1)の透過型電子顕微鏡による観察結果から、本酵素が細胞膜と近接する膜構造に局在することを確認した。しかし、標本の化学固定が不良なため、微細構造の保存が悪く、結果は明確さに欠けていた。その原因は、トランスジェニックマウスの発育がワイルドタイプのマウスの発育に比べ不良なため、心臓からの固定液の環流が十分できなかったためと考えられる。(2)の歯牙形成過程における本酵素の発現量も、標本の固定が悪くて結果が明確でなく、経時変化の有無について十分な検討をできなかった。(3)では歯牙形成に影響が出ていたが、標本の固定が悪いことによる組織像の変形を考慮すると、強制発現にともなう変化を確定することはできなかった。 (考察、結論)微細構造や組織像の保持を良好にするため、標本の化学固定の方法を工夫し、再検討する必要がある。その上で、今回の結果を評価すべきであると考えた。
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