2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯齦接合上皮-エナメル質界面の細胞生物学的特性とその接着機構について
Project/Area Number |
13671912
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
澤田 隆 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (60125010)
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Keywords | 基底板 / 歯齦 / 接合上皮 / エナメル質 / 電子顕微鏡 / ニホンザル / 歯小皮 |
Research Abstract |
本年度は歯齦接合上皮-エナメル質界面の接着機構を明らかにする目的で、材料にニホンザルを用いこれの界面について高分解能電子顕微鏡的に検索を行った。 観察部位は乳臼歯と永久歯小臼歯部の歯齦接合上皮である。エナメル質と接合上皮の間には内側基底板が存在し、さらにこれのエナメル質側には電子密度の高い無定形の物質(歯小皮)がしばしば出現していた。歯小皮は歯冠部に向かいその厚みを増していた。高分解能電子顕微鏡による観察では、歯小皮は微細な線状構造が複雑な網状を呈しており、これは内側基底板を構成している微細な網状構造へと移行していた。歯小皮の網状構造の網目に相当する部位は電子密度の高い微細粒状の物質で満たされていた。 以上の所見から、歯小皮はおそらく接合上皮細胞が産出する基底膜構成成分が、内側基底板とエナメル質との間に堆積し、そこで重合して新たな網状構造を構築した結果できたものと思われる。同時に電子密度の高い物質が新しく継ぎ足された網状構造の網目に沈着するものと推測されるが、この物質の由来に関しては歯齦溝の組織液が有力視されているもののその詳細は不明である。いずれにせよ、今回の観察から内側基底板は加齢とともにその厚みを増加させることが明らかとなった。これは、おそらく歯齦上皮とエナメル質との接合を強め、歯周組織を口腔環境から遮断するのに機能しているものと思われる。なお、歯小皮あるいは内側基底板とエナメル質との接着については現在、非脱灰試料による高分解能電顕的検索を続行中である。
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Research Products
(1 results)