2002 Fiscal Year Annual Research Report
接着性細胞の膜面と関連細胞骨格に関する超音波細胞剥離による超微構造解析
Project/Area Number |
13671925
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Research Institution | ASAHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
明坂 年隆 朝日大学, 歯学部, 教授 (70116523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 寿穂 朝日大学, 歯学部, 助手 (80102119)
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Keywords | 培養破骨細胞 / ポドゾーム / アクチン細胞骨格 / 凍結乾燥レプリカ / 細胞剥離 / 超音波細胞破砕 / ミオシンサブフラグメント |
Research Abstract |
白色ウサギの長管骨から破骨細胞を分離しガラスまたは人工ハイドロオキシアパタイト上で培養したものを研究対象とした。すでに培養した破骨細胞には特異な接着構造としてのポドゾームが出現しそれらは主にアクチン線維と関連蛋白質からなることが報告されているが、今回の研究で用いた超音波処理により背側細胞膜と大部分の細胞質とオルガネラを剥離し接着側細胞膜と関連細胞骨格を露出させたあと急速凍結固定、凍結乾燥、回転蒸着レプリカ法を行うとより詳細な細胞膜と細胞骨格構造の超微構造解析が可能となった。細胞剥離に超音波処理を用いることで従来の塩化亜鉛液を用いた手法に比べ短時間で物理的に細胞構造を除去することができより人工産物の少ない試料作製が可能となった。用いる超音波の出力、作動時間によって種々の状態の細胞剥離が再現されホーン型の超音波チップから2cm離した距離に試料を置き30W出力、0.5秒間欠照射で15秒間細胞剥離を行った場合大部分の接着に直接関与しないと思われる細胞骨格が除去されポドゾーム構造だけを残存させることができた。そのようなレプリカ観察からポドゾームは短いアクチン線維束から成っており隣接する細胞骨格に連結していた。ミオシンサブフラグメント(S-1)を作用させるとアクチン線維は特有の矢尻構造を構築しアクチン線維極性を超微構造から可視化できる。その結果辺緑細胞質、特にlamellipodia,でのアクチン線維極性が種々の方向に向いているのに比べポドゾームでは矢尻方向がその中心に向いた単一の極性を示しアクチン線維の構造的極性がポドゾームの機能的極性を反映していると考えられた。一般的に短いアクチン線維はS-1を反応させると典型的な矢尻構造を形成しにくいことが判明したが、ポドゾームのアクチン線維の極性は急速に重合するbarbed endをポドゾームの中心に向けた線維を収束する場で、その中心はtriton処理に抵抗する物質から成っていた。こららの観察結果はポドゾームは細胞運動と連動した動的細胞骨格であることを示す新知見を提供している。
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