2003 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺器官形成におけるEGFとインテグリンの役割に関する研究
Project/Area Number |
13671949
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Research Institution | ASAHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柏俣 正典 朝日大学, 歯学部, 教授 (30152630)
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Keywords | 唾液腺 / 器官形成 / 分枝形成 / EGF / ErbB / シグナル / Src / インテグリン |
Research Abstract |
胎仔唾液腺は、branching morphogenesis(分枝形態形成)と呼ばれる発達過程にしたがって成長する。我々は、唾液腺の分枝形態形成を制御する因子としてEGFおよびインテグリンに着目し、両分子の機能解明を目的として実験を行っている。本年度実施された研究から以下のような結論を得た。 1)培養胎仔顎下腺にEGFリガンドフアミリー(EGF,TGF-α,HB-EGF,AR,EPR,NRGなど)を作用させた場合、分枝形成は促進した。 2)EGF受容体の4種のサブタイプは胎仔マウス顎下腺に発現していることがRT-PCRおよびウエスタンブロットにより確認された。 3)それぞれのEGFリガンドはErbB1、ErbB2、ErbB3およびErbB4のチロシンリン酸化を促進させたが、リン酸化されるチロシン残基のアミノ酸位置には違いが認められた。 4)EGF、HB-EGFおよびTGF-αを胎仔顎下腺に処理すると細胞内のSrcのチロシンリン酸化の亢進が起こった。 5)Srcの特異的阻害剤(PP1)を作用させると分枝形成は著しく抑制した。 以上の結果、種々EGFリガンドは胎仔マウス顎下腺の分枝形成を促進させるが、それぞれのリガンドにより活性化されるシグナルは異なっていること、またシグナルの発生機序にはErbBファミリー分子の制御機構が関係していると考えられた。Srcは非受容体型のチロシンキナーゼとして知られているが、EGFリガンドがその活性を上昇させることが分かった。したがって、分枝形成の機構にSrcが関与するものと考えられた。今後、これらのシグナルネットワークを群細に検討し、インテグリンと細胞成長因子の相互作用について、さらに明らかにしてゆく予定である。
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[Publications] Koyama, N., Kashimata, M., Gresik, E.: "EGF-stimulated signaling via P13K, PLCγl and PKC isozymes regulates branching morphogenesis of the fetal mouse submandibular gland"Developmental Dynamics. 227. 216-226 (2003)