2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671977
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
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Keywords | GVHD / GVT / 悪性黒色腫 / 細胞障害性T細胞 / マウス / サイトカイン |
Research Abstract |
平成14年度は、GVHDマウスの舌に悪性黒色腫(MM)担癌モデルの作製を試み、GVT効果による腫瘍増殖抑制効果が誘導されるかどうかを免疫病理学的に検討した。方法としては、C57BL/6(B6)脾細胞をBDF1マウスに投与し誘導した。誘導後2日、10日、20日目および非誘導群に、B6由来MM細胞(B16)を舌に投与して担癌モデルを作製した。経時的に舌と脾臓を摘出して、免疫病理学的に検索した。また、RT-PCR法によるサイトカインmRNAの発現も検索した。結果として、非誘導群および2日目群では、全例に経時的な腫瘍増大がみられた。また、66.7%(6/9)に顎下腺リンパ節への転移を認めた。10日目群マウスでは、GVHD関連免疫反応と考えられる脾腫を認め、33.3%(3/9)に腫瘍の増大抑制効果がみられた。一方、20日目群での抑制効果は63.6%(7/11)に認められた。病変部では、粘膜上皮層および腫瘍胞巣へのCD8陽性細胞の浸潤による細胞破壊が認められた。また、インターフェロン・ガンマの過剰発現も確認された。以上の結果は、GVHD関連の免疫応答が発現した状態では、腫瘍抑制効果すなわちGVT効果が得られたと考えられる。エフェクター細胞としては、GVHD病変を進行させるCD8陽性細胞障害性T細胞が、GVT効果においても腫瘍細胞の破壊に関与していると推測された。しかしながら、腫瘍抑制と同時にGVHDの進行もみられるのが現状である。より特異的なGVT効果の発現に関しては、H15年度への課題とする。
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