2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671997
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松本 宏之 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90282764)
|
Keywords | HIV / 口腔カンジタ / AIDS / 唾液 / 歯科医療 / 口腔疾患 / HAART |
Research Abstract |
エイズ関連口腔症状の発生数は、HAART療法により減少した中で、口腔カンジダ症が最も多い。HAART療法により患者は、口腔に関る諸問題を常に抱えている。のみならず、先進国において唯一エイズ患者数が増加していることから、HIV陽性判明時にはエイズ患者に特有な口腔諸症状をすでに発病しているケースが増加してゆく可能性がある。 身体的苦痛はもとより、精神医学的及び社会生活的配慮を要する患者も少なくないことから、患者の口腔診査には集団的アプローチと慎重な応対法を構築した。そして対象は、東京都エイズ協力病院において通院中のHIV-1陽性患者の中で、HIV陽性感染者数が最も増加傾向にある感染原因がホモセクシャルである日本人男性とした。同意を得られた対象者の口腔機能異常の問診と口腔診査を定期的に実施した。 1 口腔部位の異常調査項目 (1)機能異常(唾液の刺激分泌機能と量、質、咀嚼、摂食機能、舌運動機能、その他) (2)感覚異常(口腔内の落痛性症状、粘膜感覚、味覚異常、その他) (3)形態異常(辺縁歯肉形態、硬組織表面、粘膜表面、その他) (4)その他(唾液内カンジダ菌、口腔疾患) 調査からCD4値と唾液内のカンジダ菌の存在との間には関連性は認められなかった。唾液内カンジダ菌の存在と口腔軟組織疾患の存在には関連性が認められた。口腔軟組織疾患がある対象者には唾液試験により唾液内血液の存在を認められたことから、口腔を介する性的交渉について指導が必要と思われた。口腔機能の健康的維持はそのまま体力や全身の健康維持につながる。歯科医療は、機能的口腔健康をライフサイクルの一部として捉え処置から定期的予防を行ない、患者の健康管理維持を実施する必要がある。HIV陽性患者に良質な歯科医療環境を提供し続けるため、歯科衛生士も含めた歯科医療従事者間のカンファレンス・連携・情報ネットワークがより進んでいくことが望まれた。
|