2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄組織破壊における炎症性細胞浸潤とケモカインの役割に関する研究
Project/Area Number |
13672001
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中西 正 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (00217770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 洋利 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70294709)
菅 俊行 徳島大学, 歯学部, 助手 (60243713)
中江 英明 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30227730)
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Keywords | ケモカイン / 内皮細胞 / MIP-3α / RT-PCR / ELISA / Streptococcus mutans / IL-1β / TNF-α |
Research Abstract |
本研究では、歯髄組織破壊における炎症性細胞浸潤の実態をケモカインならびにケモカインレセプターの観点より解明することを目的とし、昨年度はメモリー型T細胞の病巣局所への集積に関与すると考えられているMIP-3αおよびそのレセプターであるCCR6が炎症歯髄組織で発現していることを明らかにした。この知見を基に、本年度は歯髄炎の病態におけるMIP-3α-CCR6系の役割をさらに追求するため、MIP-3αの発現が免疫組織学的検索によって認められた血管内皮細胞に着目し、う蝕細菌であるStreptococcus mutansにて内皮細胞を刺激したときのMIP-3α発現をRT-PCRおよびELISAにて検討し、さらに、IL-βあるいはTNF-α刺激したときのMIP-3α発現と比較検討した。その結果、S. mutans刺激により、内皮細胞におけるMIP-3α発現は経時的ならびに濃度依存的に増強された。また、細菌が直接接触した刺激(直接)の方が、接触しない刺激(間接)よりも発現は強く誘導されたが、IL-βあるいはTNF-α刺激の場合に比べると、その程度は低かった。同様に、歯髄線維芽細胞におけるMIP-3α発現についても検討したところ、IL-16で顕著なMIP-3αの発現誘導が確認されたが、内皮細胞に比べるとその産生量は低い傾向を示し、一方、TNF-α刺激ではごくわずかな発現上昇しか認めず、S. mutansには反応しなかった。 これらの結果より、う蝕細菌の侵襲に対し血管内皮細胞が直接的に細菌由来因子の刺激を受けあるいは間接的に生体防御因子の影響を受けてMIP-3αを発現・産生することで、炎症歯髄組織へのリンパ球浸潤機構のなかで内皮細胞が調節的役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)