2001 Fiscal Year Annual Research Report
電気的パラトグラムと音響分析による母語・非母語調音の干渉に関する縦断的研究
Project/Area Number |
13672021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 秀美 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (50005104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 敏 広島県立保健福祉大学, 教授 (80122018)
坂本 幸 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40004113)
佐々木 具文 東北大学, 歯学部・付属病院, 助手 (40323034)
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Keywords | 電気的パラトグラム / 母語 / 非母語 / 調音の干渉 / 音響分析 / 弁別訓練 |
Research Abstract |
母語、即ち日本語に対する非母語、即ち米国語の干渉を、電気的パラトグラムと音響分析の両者を用いて解明する事を計画した。今年度はその基礎編として、日本人にとって、認知・生成の困難な英語の/r/と/l/を取り上げた。そしてこの/r/と/l/の非母語音韻の学習における聴覚等の果たす役割に関しても調査した。 同一被験者の日本人を対象に、非母語音韻の学習・訓練の前・後の縦断的研究を行う前段として、今回は聴覚等の弁別訓練を受けて、その知覚弁別率が90%を超えた日本人話者と一切の訓練を受けていない日本人話者、また比較のため英語を母語とする米国人話者の3者を対象に、/r/と/l/に対する母語の干渉の実態を調査した。 解析は非母語音韻調音時の母語の干渉の様相を、多次元尺度構成法を用いて分析し、調音地図を作成し比較した。また音響分析では各調音の発話時における始端のF2、F3を測定し比較した。 結果は、訓練を受けた日本語話者は、英語/r/音と/l/音の調音をする際に、特に英語/r/音に関しては母語の干渉を受けにくいが、英語/l/音に関しては母語の干渉が認められた。従って聴覚等の弁別訓練を受けた日本人話者では、調音上の母語の干渉が減少すること、また音素によって程度の違いがあること、日本語話者にとって英語/r/の方が/l/よりも習得が容易であることが示唆された。 尚、被験者に関しては実験の趣旨を説明し同意のもの行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 伊藤 秀美: "構音評価における音響分析の意義"音声言語医学. 41(2). 147-153 (2000)
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[Publications] 佐々木 具文: "上顎口蓋S状隆起部の形態変化が舌及び下顎の構音機能への影響"第46回日本音声言語医学界抄録集. 46. 83 (2001)
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[Publications] 伊藤 秀美: "母語・非母語の干渉パラトグラフと多次元尺度構成法による比較"電子情報通信学会信学技報. SP02-117. 1-8 (2002)