2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672023
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50218723)
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Keywords | テクスチャー / 6自由度顎運動測定装置 / 硬性・破砕性食品 / 軟性食品 / 咬合相 / 水平面咀嚼経路 / 切歯点 / 顆頭点 |
Research Abstract |
日本人は欧米人に比べ食べ物の素材を生かした料理を好み,歯ざわり,噛みごたえを重視した独自の食文化,食習慣を形成してきた.ぱりぱり,さくさく等の擬音語,擬態語は食感を表す日本語独特の表現といえ,食物の物性を示すテクスチャーの指標となる.咀嚼は歯,咀嚼筋・顎関節等の末梢からの情報を受け,口腔内の食物の性状,食塊の変化に応じて最適な運動を営むことが知られている.しかし,テクスチャー用語で表現される微妙な食感の差,咬合感覚の違いが咀嚼時の下顎運動にどのような影響を与えるかは未だ不明である.本研究では,咀嚼運動時の咬合感覚と下顎の動態について,被験食品をテクスチャー用語に従って分類し,咀嚼運動経路の違いを分析した. 被験者は健常有歯顎者3名で,被験食品には硬性・破砕性食品のアーモンド,堅焼き煎餅,薄焼き煎餅と軟性食品のりんご,ガムを選択した.下顎運動は6自由度顎運動測定装置MMJI-E(松風社製)にて測定し,分析は各咀嚼ストロークにおける下顎切歯点,左右顆頭点の経路を検討した. その結果,各食品の咀嚼経路の特徴が咬合相の水平面経路に表れることが判明し,従来のマクロ的なストローク全体の前頭面経路の比較とは異なる分析が可能となった.咬合相での切歯点の水平面咀嚼経路と側方滑走経路とを比較すると,硬性食品では咀嚼経路が側方滑走経路の後方にあり,後外側から咬頭嵌合位付近に向かい閉口する経路が多かったのに対し,軟性食品では側方滑走経路と致する経路が多く認められた. また,咬合相における顆頭点の水平面咀嚼経路については,硬性食品で作業側顆頭が咀嚼経路の後方にて最外側から内側に大きく移動し,咀嚼終末位に至る特徴的な運動が認められ,作業側顆頭の水平移動距離は硬性・軟性食品間で有意な差が生じた. 以上より、テクスチャーの違いに伴う感覚入力の差が中枢へ伝達され,個々の食品の性状に応じた最適な咀嚼運動が営まれることが示唆された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] J.Nakajima, M.Hideshima, M.Takahashi, H.Taniguchi, T.Ohyama: "Study of Masticatory Mandibular Movements in Reference to Onomatopoetic Texture Words for Foods"J of Medical & Dental Sciences. 48(4). 121-130 (2001)