Research Abstract |
アメリカに留学経験のある日本人歯科医師3名に,英語版Short-form Oral Health Impact Profile(OHIP-14)をそれぞれ日本語に訳させた.次に,その日本語の文章を,大阪外国語大学で英語を教えているアメリカ人教師に英語に訳させ,原文と最も近い英語になった日本語の質問を採用し,日本語版OHIP-14を作成した.次に,大阪大学歯学部附属病院咀嚼障害補綴科受診中の65歳以上の患者20名に日本語版OHIP-14への回答を依頼し,意味の分かりにくい質問については修正を加え,完成した. 次に,大阪府老人大学講座の受講者1015名(平均年齢67.1歳,男性56.5%)に対して,日本語版OHIP-14を用いてアンケート調査を行った.日本語版OHIP-14の質問項目には,機能の制限,身体的疼痛,心理的不快,身体的障害,社会的障害,心理的障害,ハンディキャップに関するものがそれぞれ2問ずつ計14問含まれている.これらの質問に対して,(1)全くない,(2)ほとんどない,(3)ときどきある,(4)しばしばある,(5)頻繁にあるの5段階で回答してもらい,(4)(5)と回答した項目数を,口腔に由来するQOLの問題点ありとして合計し,個人のスコアとした. 最も回答数が多かったのは,口腔内の痛みの経験で,41.7%の者にみられた.OHIP-14の平均スコアは2.66±3.55であり,これは健康状態の自己評価,口腔内状態,歯科受診状況,経済状態と有意な関連がみられたが,、性別や家族構成とは有意な関係がみられなかった.ロジスティック回帰分析による多変量解析の結果,口腔内状態は全てのOHIP-14の項目と有意な関連がみられた.
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