Research Abstract |
高齢社会となり,健やかに過ごすために,健康状態などへの関心も大きい。全身の健康状態への口腔状態の影響についても関心が高く,両者に関連があることが報告されてきている。しかしながら,これらの研究の多くは横断調査による有病率研究であり,これらの結果からは口腔内の状態(咀嚼能力なども含む)と全身状態(ADL, QOLなど)との詳細なる関係が未だに不明である。 痴呆は,高齢社会の関心の一つである。痴呆の程度,全身健康状態,生環境と口腔内状態を調査することは意義のあることであり,痴呆高齢者を追跡調査(縦断調査)し,口腔状態と痴呆の程度,全身的健康状態,生活環境との詳細な関係を検討している。 国立療養所賀茂病院の痴呆病棟への入院患者(平成13年12月時点からの入院患者)を調査対象者としている。平成14年度において,その調査対象者の全身健康状態,既往歴,ADL,口腔内状態(残存歯数,アイヒナーの分類,義歯装着の有無),口腔ADL,痴呆の程度の判定(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)などを追跡・調査した。もし,調査時点で,種々の障害により上記の調査が不可能であれば,調査が可能な時に調査した。また,可能な限り,家族歴,入院するまでの生活歴なども聞き取り調査した。 調査対象者の口腔内状態により,歯科的治療が必要であると判断すれば,義歯作製などの歯科治療を行った。そして,全身状態を含むこれらの記録は,可能な限り詳細に記録し,追跡・蓄積している。現在も,調査を継続しており,データ蓄積中である。
|