2002 Fiscal Year Annual Research Report
遠心発射型研磨装置を応用した純チタンクラウンの研磨法の確立
Project/Area Number |
13672050
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
嶋倉 道郎 奥羽大学, 歯学部, 教授 (80111730)
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Keywords | 遠心発射型研磨装置 / 純チタン / クラウン辺縁 |
Research Abstract |
これまでの研究で,遠心発射型研磨装置が純チタンの研磨に有効であることが確かめられている.しかしこの装置は,その研磨機構から考えて,クラウン辺縁など薄い部分を欠いたり変形させたりする恐れがある.そこで遠心発射型研磨装置による研磨が,チタンクラウン辺縁にどのような影響を及ぼすか検討するため,JIS第2種純チタンおよびTi-6Al-7Nb,合金を使用し,クラウンの辺縁形態を想定して辺縁の角度を30度,45度,60度に設定した板状の試料を作製した.この試料を遠心発射型研磨装置により,衝射時間を40秒,60秒,90秒と変えて研磨を行い,あらかじめ試料に付与した標点から辺縁までの距離を,研磨前後で測定することにより辺縁の短縮量を求めた.さらに一部試料は樹脂包埋後切断し,拡大映像システムにより辺縁断面の形態変化を観察した.結果は以下の通りである. JIS第2種純チタン,Ti-6Al-7Nb合金共に同様の傾向を示し,先端角度の違いによる辺縁の短縮量には,ほとんど差は認められなかった.また衝射時間が長くなるほど,短縮量が多くなる傾向が認められたが,その値は先端角度が30度、衝射時問が90秒の試料でも約15μm程度と,予想より少なかった.試料先端部の観察では,辺縁の角に見られる丸みが,研磨後でわずかに強くなる傾向を示したのみで,顕著な形態変化は認められなかった.これらの結果の原因としては,チタン鋳造体表層に固い反応層が生成されたため,表面の研削量も少なく,辺縁の形態を変化させるまでに至らなかったのではないかと考えられる.以上のことから,遠心発射型研磨装置をチタン鋳造冠の研磨に用いても,辺縁の形態変化にはほとんど影響を及ぼさないことが示唆された.
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