2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用金属と歯科用レジンの新しい接着方法の開発-歯科材料への電着システムの応用-
Project/Area Number |
13672054
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
掛谷 昌宏 日本大学, 歯学部, 助手 (70160992)
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Keywords | 電着 / 接着 / 歯科用金属 |
Research Abstract |
より有効な処理条件を探索するためには,処理溶液濃度や処理電流のみならず,この接着強さに影響を与える他の因子についても検討する必要がある.検討を続けるうちに,接着強さに影響を与えると考えられる因子として,処理時間などの他に処理から歯科用レジン接着までの放置時間および処理前後の表面粗さ等が影響することがわかってきた. そこでまず,処理時間および電着処理後の放置時間について検討した.すなわち,処理時間を変化させ,金属面を洗浄して物理吸着層を除き,電着の処理効果を検討した.また,同時に処理後の金属表面の表面粗さを測定した.次に,処理後の金属面をエアーブローしたのみでレジン接着までの放置時間を変化させて検討した.その結果,以下の結論を得た. 1)18k金合金では30秒以上の処理時間で比較的大きな値を示した.放置時間の影響は小さかった.2)金銀パラジウム合金ではどの処理時間でも比較的大きな値を示し,処理時間の影響が小さかった.放置時間が長くなるに従って接着強さも大きくなった.3)CoCr合金では処理時間が長くなるに従って接着強さも大きくなったが,表面から,金属が溶出している可能性が考えられた.わずかに放置時間の影響があった.4)Tiでは,処理時間30秒から1分間が比較的大きい値を示した.放置時間が長くなるに従って接着強さも大きくなった.5)溶出や酸化の起こりにくい貴金属合金の方が比較的有利であることが示唆された.また,CoCr合金やTiなどの非貴金属合金は,処理時間が長くなると,溶出や酸化等の他の要因の影響が大きくなると考えられるため,処理時間は可及的に短い方がよいと考えられた.放置時間が長くなるに従って金銀パラジウム合金やTiなどの接着強さが大きくなった原因としては,電着終了後にわずかに残る水分の減少や,金属表面に残った物理吸着層がわずかに化学吸着層に変化することなどが考えられた.
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