2001 Fiscal Year Annual Research Report
12%金―20%パラジウム―銀合金代替歯科鋳造用合金の創製
Project/Area Number |
13672066
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
福井 壽男 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (50090147)
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Keywords | 12%金-20%パラジウム銀合金 / 熱処理 / 疲労特性 / 人工唾液 / 合金組成 / 銀-イリジウム2元合金 |
Research Abstract |
12%金-20%パラジウム-銀合金の熱処理のメカニズムをミクロ組織と熱処理条件の関係から解明する。さらに銅量を共晶域まで増大して、強くて伸びのある金合金の性質に優るとも劣らない靭性を有した、価格不安定な構成元素のパラジウムに代わる金属元素を添加した新合金を創製する目的で実験を遂行した。本年度は新合金創製の基礎的知見を得る目的で歯科用合金として最も重要である機械的性質および化学的性質を検討するため、人工唾液中および通常より過酷な条件である3%NaCl水溶液中での疲労試験を行うと共に耐食性について検討した。 1.人工唾液中における各熱処理材の疲労強度は、低サイクル疲労寿命領域では大気中とほぼ同等の疲労強度を示したが、高サイクル疲労寿命領域では1123WQ+AT673材の疲労強度が大気中のそれより低下した。 2.1123WQ+AT673材では、β相が多く析出しているため、β相と母相との界面で腐食が進行しそこへの応力集中が顕著となるため、人工唾液中における高サイクル疲労寿命領域での疲労強度が大気中のそれに比べ低下すると考えられる。 3.1073WQおよび1073AC材ではβ相が存在するにもかかわらず、高サイクル疲労寿命領域での疲労強度が人工唾液中と大気中とで疲労強度にほとんど差がなかったのは、β相の体積率がそれほど大きくないために、その影響が腐食疲労強度に対して現れなかったと考えられる。 4.β相の存在が本合金の人工唾液中、すなわち疑似口腔内環境での疲労強度を低下させる原因となる。ただし、β相の体積率を抑制することによってこの疲労強度の低下を抑制できると考えられる。 上記のデータを基にPdを除いた代替合金作製のため、Ag-Ti2元固溶体合金の溶製を試みた。しかし、期待したデータが得られず、その原因の解明に着手している。
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Research Products
(2 results)