2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨破壊病変防止のためのiNOS発現抑制による遺伝子治療の分子生物学的研究
Project/Area Number |
13672082
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
引地 尚子 東京大学, 保健管理センター, 講師 (50292876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 照彦 東京大学, 保健管理センター・医学部附属病院, 教授 (00146151)
高戸 毅 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90171454)
|
Keywords | 遺伝子治療 / 骨破壊病変 / iNOS |
Research Abstract |
1992年のザ・モレキュール・オブ・ザ・イヤーとして脚光を浴びたNO(一酸化窒素)は、循環器系、脳神経学系を中心とする各分野で、その重要性が明らかにされた。われわれは骨形成・骨吸収機構において、NOが重要な代謝調節因子であることを明らかにした(2000、1997引地)。NOを合成する酵素には、サイトカインの刺激により誘導されるinducible NO合成酵素(iNOS)と常に発現するconstitutive NO合成酵素(cNOS)の2種類がある。われわれは、両酵素とも骨組織中に存在することを示し、iNOSが炎症における骨破壊に大きく関与していることを示した。しかも、cNOSから生じるNO自体は本来骨形成作用があるが、サイトカインの刺激によりiNOSを誘導し、これより産生されるNOは細胞障害性の強いperoxynitrite(ONOO^-)に変化し、骨破壊をおこすという機構も明らかにした(2000引地)。 本年度われわれは、in vitroで、iNOSのアンチセンス遺伝子を骨芽細胞に導入し、iNOSによるNOの産生を抑制することによって、炎症時の骨破壊機転を阻止できるかどうかを検討することを目的とした。その結果、iNOSのアンチセンス遺伝子を骨芽細胞に導入することにより、iNOS関連遺伝子、蛋白などの産生が抑制されることが示された。現在、iNOSの発現抑制が、骨芽細胞の分化および、細胞障害性ラジカルの産生にどのような影響を及ぼすか検討中である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Motohiro Ohkoshi, Hisako Hikiji, Mkoto Nakatsuru, Katusmi Ohashi: "Long-term follow-up of an elderly patient with ankylosis of the temporomandibular joint : Case report"Japan Med. Associat. J. 44. 189-191 (2001)
-
[Publications] 高戸毅, 引地尚子: "21世紀の医療に望むこと"日本臨床歯内療法学会雑誌. 22(2). 115-118 (2001)
-
[Publications] 高戸毅, 引地尚子: "骨延長と再生医療"Clinical Calcium. 12(2). 29(207)-33(211) (2002)
-
[Publications] 引地尚子, 綿谷早苗, 高戸毅, 江口智明, 富塚健: "口唇形成術前外鼻矯正のための改良型口蓋床の使用経験"形成外科. 45(3)(in press). (2002)
-
[Publications] 引地尚子, 高戸毅, (荻野洋一, 西村善彦, 高戸毅編): "唇裂鼻の治療.臨床像と手術 第2章片側唇裂初回手術と鼻の形の異常 4)初回手術における外鼻修正法【○!3】"克誠堂出版. 44-49 (2001)