2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤耐性口腔癌細胞膜の脂質組成による特異性を利用したターゲッティング療法の開発
Project/Area Number |
13672098
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
虎谷 茂昭 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (90172220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
|
Keywords | 耐性癌細胞 / 抗癌剤 / 薬剤耐性遺伝子 / 扁平上皮癌 / 唾液腺癌 / 細胞膜脂質組成 / リポソーム |
Research Abstract |
悪性腫瘍の治療において抗癌剤を用いた化学療法は、癌の再発・転移を抑制する上で有効な治療法である。しかし癌化学療法を行った後に再発・転移を起こした腫瘍は、抗癌剤に対して耐性を獲得している可能性が高く従来の抗癌剤では十分な効果が得られない症例をしばしば経験する。我々はこれまで口腔扁平上皮癌細胞(SCC)と唾液腺腺癌細胞(SAC)を用いて細胞膜脂質組成と同組成のリポソームを用いたドラッグ・デリバリー・システムの開発を試みてきた。 今回、SCCのNA細胞とSACのHSY細胞を用いてシスプラチン(CDDP)とアドリアマイシン(ADR)に対する耐性腫瘍細胞の樹立を試み、NA-CDDP、NA-ADM及びHSY-CDDPの3種類の耐性株が得られた。これらの耐性株は耐性の誘導に用いた抗癌剤に対しては、親株に比較して2倍以上の耐性を示すことが明らかになった。これらの耐性の機序を解明するため、薬剤耐性遺伝子のABCスーパーファミリーのうちp-glycoprotein、MRP-1、-2、-3及び薬剤解毒機構に関連するglutathion S-transferaseの遺伝子発現を定量RT-PCR法を用いて検討した。その結果NA-CDDP及びHSY-CDDPではMRP-2、NA-ADMではp-glycoproteinの遺伝子発現が上昇していた。しかし、細胞膜脂質組成の検索では耐性細胞株と親株の間で大きな相違が見られなかった。
|