2001 Fiscal Year Annual Research Report
IkBキナーゼを標的にした口腔癌の老化誘導療法の可能性についての研究
Project/Area Number |
13672104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池邉 哲郎 九州大学, 歯学研究院, 助手 (20202913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白砂 兼光 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)
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Keywords | NF-kB / IKK / 上皮分化 / 扁平上皮癌 / 口腔癌 |
Research Abstract |
転写因子NF-kBをリン酸化し活性化するリン酸化酵素1KBキナゼα(IKKα)の新しい作用として、扁平上皮癌細胞の分化に対するIKKαの作用を解析し、以下の結果を得た。 (1)扁平上皮癌(SCC)患者36症例の組織中のIKKα発現を、抗IKKα抗体を用いて免疫組織学的に検索すると、IKKαが高発現している症例ほど浸潤・転移し、予後が悪いことがわかった。 (2)SCC癌細胞にIKKαおよびIKKβ発現ベクターを導入すると、IKKαを高発現している細胞でのみ上皮分化マーカー(インボルクリン、フイラグリン)の発現が抑制された。 (3)緑色蛍光タンパク(GFP)を融合したIKKα遺伝子発現ベクター、同IKKβ遺伝子発現ベクターを作製し、各々癌細胞に導入してGFP-IKKα安定発現細胞株とGFP-IKKβ安定発現細胞株を樹立した。 (4)GFP-IKKα発現細胞とGFP-IKKβ発現細胞とを比較すると細胞形態においてIKKα発現細胞は細長く樹枝状の形態に変化していた。また、IKKαとIKKβには細胞内局在に違いがあり、IKKαは細胞質に均一に分布しているのに対し、IKKβは核の周囲に局在していた。また、GFP-IKKα発現細胞では上皮分化マーカーの発現が著しく低下していた。 以上の結果より、IKKαは転写因子NF-κBを活性化する作用とは別に、扁平上皮癌細胞の分化を抑制する機能があり、癌悪性度に影響することが考えられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nakayama, H., Ikebe, T., Beppu, M., Shirasuna, K.: "High expression levels of nuclear factor κB, 1κB kinase a and Akt kinase in squamous cell carcinoma of the oral cavity"Cancer. 92. 3037-3044 (2001)