2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672114
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武藤 寿孝 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (00143298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賀来 亨 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60133253)
矢嶋 俊彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (10018749)
川上 娘治 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (20244858)
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Keywords | 顎関節 / 過剰開口 / 滑膜炎 / ラット / 早期反応 / 光学顕微鏡的観察 / 電子顕微鏡的観察 |
Research Abstract |
平成13年度は顎関節外傷性滑膜炎モデルラットを作製し、光顕的および電顕的に観察することであった。モデルラットは8週齢雄ラットに徒手にて過剰開口を連続10回10日間行うことにより生じさせることができた。観察日を処置後5日目、2周目、4周目、6周目とした。その結果、顎関節の上関節腔前方滑膜組織に滑膜炎(滑膜細胞の多層化、血管の拡張、フィブリン沈着、滑膜癒着)が生じた。この結果は平成13年の秋に学会で発表した。 平成14年度はこの滑膜炎の超微細構造を観察することを主眼とした。その結果、滑膜A細胞においては早期の脱落や空砲の増大、滑膜B細胞においては細胞質内r-ERの膨化やミトコンドリアの変性等がみられた。また滑膜表層や滑膜細胞間にフィブリン沈着が認められた。とくに互いに接する上下の滑膜表層部にフィブリン沈着を認めたことは、滑膜癒着の存在を疑わせた。この結果は歯科医学関係の国際基礎医学雑誌であるJournal of Oral Pathology & Medicineに投稿し受理された。 平成14年後期から平成15年前期にかけては、上記の結果を踏まえ、外傷性滑膜炎の発症機序および癒着機序を解明するためにはさらに早期の滑膜組織の反応を調べることとした。過剰開口1日目、3日目、5日目、10日目、処置後5日目を観察するために、同じようにモデルラット作製を試みた。現在標本の大部分は出来上がり、一部の結果は今年2月の東日本歯学会で発表した。外傷直後は滑膜組織に浮腫性変化が生じ滑膜細胞間の空隙の増大とコラーゲンの破壊が生じた。その後表層下結合組織の修復と滑膜細胞の脱落および多層化と推移していくことが示唆された。 平成15年度は研究の最終年度であり、外傷後の滑膜組織の早期反応の光顕的電顕的所見をまとめる予定である。そしてこの結果を国際学会で発表し、また論文発表まで行いたいと考えている。
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