2001 Fiscal Year Annual Research Report
快適な歯科治療を目指して -自律神経解析からみた歯科治療が患者におよぼす影響-
Project/Area Number |
13672121
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
阿部 耕一郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40192992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一戸 達也 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40184626)
金子 譲 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085747)
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Keywords | 心拍変動 / 自律神経解析 / 歯科治療 |
Research Abstract |
目的:歯科治療を受ける患者にとっては処置に対しての恐怖心や注射針の刺入,疼痛など種々な原因がストレッサーとなり,気分不快,循環変動などを起こす.そこで歯科治療が患者にどの様な影響を与えているかを治療中の自律神経解析を観察し検討した. 方法:本年度は口腔外科処置が自律神経活動にどの様な影響を与えるかを検討するため,下顎第三大臼歯の抜歯を予定され,研究に対し了承を得られた外来通院患者を対象とした.モニター監視下で行った対照群(C群)とミダゾラムを用いた静脈内鎮静法下に行った群(S群)の二群に任意に分け研究を行った.観察項目は血圧,心拍数,Sp02(BP-88,日本コーリン社製),心拍ゆらぎリアルタイム解析システム(Tarawa/Win,GMS社製)を用いて,心拍変動の低周波成分(LF)と高周波成分(HF)およびその比(LF/HF)を求め,LF/HFから交感神経活動,HFから副交感神経活動を評価した.観察時期は処置前安静時(pre),鎮静薬投与後(sed:S群のみ),局所麻酔開始時(la),局所麻酔5分後(post-la),抜歯時(ext),術後安静時(post)とした. 結果:血圧はC群では変化を認めなかった.S群ではsedにおいて低下した.心拍数は両群ともにpost-laに上昇傾向を示した.自律神経活動についてC群ではLF/HF,HFともに変化を認めず,S群ではsed以降HFの低下傾向が観察された. 考察および展望:C群,S群ともにHF,LF/HFから評価した自律神経活動に著明な変化を認めなかったが,患者個々ではHF,LF/HFに大きな変化を示した症例もあり,個々の自律神経活動も併せて検討の必要性が示唆された.今後,さらに観察対象を広げ,今回の結果と併せて歯科治療が患者に与える影響を考察し,患者が歯科治療を快適に受けることのできる方法を検討してゆきたい.
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