2001 Fiscal Year Annual Research Report
口腔由来扁平上皮癌細胞におけるラクトフェリンのPLD活性化とアポトーシス誘導機構
Project/Area Number |
13672128
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
坂井 隆之 鶴見大学, 歯学部, 助手 (60260577)
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Keywords | ラクトフェリン / アポトーシス / 口腔癌 / フォスフォリバーゼD / MAPキナーゼ / PMA / PKC / 阻害剤 |
Research Abstract |
牛ラクトフェリン(Lactoferrin)をペプシンで切断したフラグメントのうち高分子量の分解産物(Lfn-P)を、口腔由来培養扁平上皮癌細胞(HSC-4,SAS)に適用した。 ラクトフェリンのトリプシン分解産物(Lfn-p)により 1)細胞外へのLDHの漏出が増加、アガロース電気泳動でDXAの断片化がみられた。アポトーシスが誘導されたと考えられるが、その程度は細胞により異なっていた。(SAS>HSC-4) 2)アポトーシスに抵抗性を示すHSC-4細胞では、PLD活性の濃度依存的な上昇を示したが感受性の高いSAS細胞では活性化は観察されなかった。 3)アポトーシスに抵抗性のHSC-4細胞で、p42/44ERKのリン酸化を亢進させた。 4)HSC-4細胞でのPLD活性化について、各種阻害剤を用いて検討したところ、a)MAPキナーゼの阻害剤b)チロシンキナーゼ阻害剤c)PI3キナーゼ阻害剤により部分的に(40-50%)阻害された。 5)MEK1の阻害剤、P38MAPキナーゼの阻害剤、チロシンキナーゼの阻害剤は、それぞれ相加的にLfn-PによるPLD活性化を抑制し3種の組み合わせによりPLD活性化がほぼ完全に抑制されたが、PMAによる活性化にはほとんど影響しなかった。 6)HSC-4細胞に誘導されるPLD活性化は、プロテインキナーゼC(PKC)阻害剤によってほとんど抑制されないが、PMA、によるPLD活性化は著明に抑制された。 以上のようなPLD活性化は、Lfn-Pによるアポトーシスに高感受性を示すSAS細胞ではみられず、アポトーシスに対する抵抗性に関与するものと考えられた。 これらの内容は、昨年の第55回日本口腔科学会総会(盛岡)および第42回大韓口腔顎顔面外科学会総会にて発表した。
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