2002 Fiscal Year Annual Research Report
近交系DRHラットの発癌抑制機構とアポトーシス促進機構の関連性
Project/Area Number |
13672135
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
三浦 正資 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (40320337)
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Keywords | Apoptosis / carcinogenesis |
Research Abstract |
癌の発生、発育には細胞増殖やテロメアの制御異常に加えてアポトーシス機構の異常が重要な役割を果たしていると考えられる。癌細胞は増殖因子や受容体の異常によりアポトーシスの抑制がおこることで発生してくると予想されるが詳細な分子機構については不明である。 Donryu系ラットから樹立された近交系発癌耐性ラットは化学発癌剤4NQOによって舌癌を誘発した場合にも、ある程度の発癌耐性を示すことがわかった。本研究はDRHラットの発癌耐性機構を解明するためにDonryu及びDRHラットの舌発癌過程における組織細胞レベルでのアポトーシスの比較を行うとともに、誘発剤によるリンパ球のアポトーシスを比較検討することで、アポトーシス抑制と発癌耐性機構の関係を調べることを目的とした。 Donryu DRHラットに4NQOを投与し、発癌に至るまで経時的に組織を採取、病理組織学的変化、TUNEL法によるアポトーシス細胞の発現を比較した。過形成、前癌病変の発現はDonryuラットが発癌剤投与後、約4ヶ月以降に認められたのに対し、DRHラットでは約5ヶ月目以降に認められた。 DRH、Donryuラットの脾臓より採取したリンパ球を用いてアポトーシスを誘発した場合のアポトーシスに陥る細胞の割合を各種方法によりそれぞれ調べた。アポトーシスの誘発剤としてActinomycinD及びDexamethasoneを用い、37℃、CO_2インキュベーターで24時間培養を行った。両誘発剤ともにDRHはDonryuラットよりもリンパ球DNAの断片化程度は若干低かった。ホスファチジルセリンに結合する蛍光プローブとフローサイトメトリーを用いてアポトーシス細胞を検出した。その結果、DRH、Donryuラットにおけるリンパ球細胞のアポトーシス細胞の様相に顕著な差は認められなかった。 さらに他のアポトーシス誘発剤、又は方法を加えて検討を行いDRH、Donryuラットのリンパ球にアポトーシスの差異が認められた場合、各種アポトーシス関連因子の発現を調べる予定である。
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