2001 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害者における嚥下中枢の化学伝達物質の実験的検討
Project/Area Number |
13672140
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 峻 東北大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (90005108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 博之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (20108541)
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Keywords | 嚥下反射 / 副交感神経 / 三叉神経脊髄路核 / 体性-副交感神経反射 / 舌神経 / 唾液核 / 孤束核 |
Research Abstract |
本研究では、嚥下反射と同様な反射経路を持つと考えられる、顔面における体性-副交感神経反射性血管拡張反応の中枢機序を検討した。実験方法としては、ネコをウレタン-クロラロース-パンクロニウム-人工呼吸下にて麻酔を維持した。三叉神経脊髄路核の電気刺激は、脳定位固定装置に固定後開頭し、三叉神経脊髄路核に挿入した同芯円電極により行った(2ms, 100mA, 10Hz, 20s)。反射性血管拡張反応は舌神経を中枢性に電気刺激(2ms, 30V, 10Hz, 20s)して起こした。血管反応は下唇をレーザードップラー血流計で測定した。その結果、1)三叉神経脊髄路核の電気刺激は下唇の血流を増加させた。2)舌神経刺激による反射性血管拡張反応は三叉神経脊髄路核へのLidocaine(2% ; 1ml/site)注入により可逆性に抑制され、kainic acid(10mM/site;1ml)により非可逆性に抑制された。しかし下垂液核電気刺激(2ms, 30V, 10Hz, 20s)で生じる反応は、これらの薬剤注入では全く抑制されなかった。3)唾液核にリドカインを微量注入すると反射性血管拡張反応は可逆性に抑制された。4)舌神経及び三叉神経脊髄路核刺激によって起こる下唇の血流増加反応は、共に自律神経節遮断薬(Hexamethonium, 1mg/kg)により有意に抑制された。以上の結果から三叉神経脊髄路核は舌神経刺激により生じる体性-副交感神経反射性血管拡張反応を中継していることが示唆された。 以上の結果をもとに、今後は嚥下中枢、特に孤束核が嚥下反射に果たす役割およびその機序を解明していく予定である。
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