2001 Fiscal Year Annual Research Report
口腔環境の改善が口腔内悪性腫瘍の転移におよぼす影響について
Project/Area Number |
13672159
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲井 裕子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00193540)
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Keywords | 口腔清掃 / 悪性腫瘍 / 歯周病 |
Research Abstract |
口腔内悪性腫瘍の患者については放射線治療が有効であり、単独であるいは化学療法との併用で広く行われている。 これらの患者については、治療の副作用である粘膜炎、口渇等のため口腔内清掃状態が不良になりやすく、そのために歯周病及びカリエスが進行する傾向があった。 われわれは口腔内悪性腫瘍の治療の主流である放射線治療中の患者、及び治療終了後の患者中、進行した成人性歯周炎の患者に対し、歯槽骨を露出させないという制限下で外科療法を含む積極的な歯周治療を行い、放射線照射側においても歯周病の治療が有効であることを確認してきた。さらに早期に口腔内清掃指導を行うことでカリエスの発生を抑制してきた。結果として歯周病、カリエスの両面から、抜歯を回避しそれに伴う重篤な放射性骨髄炎の発生を抑制してきた。今回はさらに頚部リンパ節への転移と口腔清掃・歯周病の進行との間に関連がみられるかどうかを主目的とした。 そのため重症な歯周病患者を含めた悪性腫瘍の患者に対して、放射線治療前に歯周病の臨床的所見を得た。指標としてはプラーク指数・プロービング時の出血の有無・probing depth・歯槽骨吸収の有無を用いた。 それらの指標をもとに放射線治療前に歯周病の治療を積極的に行った結果、現在まで頚部リンパ節に転移が生じた奨励はなかった。 また、予知できる唾液減少によるカリエスの多発に関しても、フッ素塗布・フッ化物含有の歯磨剤の使用を励行した結果、新たなカリエスの発生も予防可能であった。 また、術後来院可能な患者に対しては、さらにモチベーションを高めるために位相差顕微鏡を用いて患者教育を行っている。
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