2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔環境の改善が口腔内悪性腫瘍の転移におよぼす影響について
Project/Area Number |
13672159
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲井 裕子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00193540)
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Keywords | ポケットキュレッタージ / 歯周治療 / プロービングデプス / 悪性腫瘍 / 放射線根治照射 / 転移 |
Research Abstract |
口腔内原発の悪性腫瘍の頚部リンパ節への転移は、舌癌の場合で初診時の約50%にみられ、転移の有無は原発腫瘍の進展度と強い相関があるといわれている。一方、歯周病は歯肉縁下プラーク細菌に起因する炎症性疾患であるが、生体の応答性により、炎症の実態は大きく影響されると考えられている。口腔内の悪性腫瘍のために放射線根治照射を受けた患者は唾液流量の減少や放射性粘膜炎のため、口腔清掃状態が悪化しやすく、その結果齪蝕や歯周病が進行しやすい傾向がある。しかし放射線根治照射を受けた歯周病の患者の有効な治療法に関しては、未だ碓立されていないのが現状である。我々は歯周病の有効な治療法を碓立することを目的として、放射線根治照射をうけた患者に対して歯周基本治療を行い、その中で特に歯周基本治療の最後に行ったポケットキュレッタージの効果を調べた。対象患者は26名で、それらの患者について、深い歯周ポケットを有する歯についてプロービングデプスの変化を調べた。また、26名中組織内照射をうけた16名の患者の下顎臼歯部について、照射側と反対側におけるキュレッタージ前後のプロービングデプスの変化を比較した。その結果1)ポケットキュレッタージの前後でプロービングデプスは有意に減少した。また4mm以上の歯周ポケットを有する歯の62.2%が3mm以下になった。2)下顎臼歯部において放射線照射側と反対側で同程度にプロービングデプスが減少した。3)ポケットキュレッタ-ジ後に骨髄炎の発生は認められなかった。以上の結果から、放射線根治照射をうけた歯周病の患者に対してはポケットキュレッタージが有効であることが示唆された。
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