2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13672168
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
槇 宏太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (80219295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴崎 好伸 昭和大学, 歯学部, 教授 (40014005)
中納 治久 昭和大学, 歯学部, 助手 (80297035)
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Keywords | 骨延長法 / 顎関節 / 成長 |
Research Abstract |
骨延長法を施行したことによる顎関節(下顎頭)の変化について様々な見解が示されているが、その詳細に関する報告は少ない。特に成長期にある個体に下顎骨延長を行った場合、下顎頭軟骨・骨は骨延長中・後の間接反力が加わると同時に、それ自体が成長の場であるという要因も重なり、種々の反応を示すことが考えられる。その複雑さゆえに、骨延長後に成長終了を迎えた成体の下顎骨、特に下顎頭への影響は明らかにされていない。その解明の一助とするため、成長期ラットにおいて下顎骨延長法を施行した時の顎関節窩に押し込まれた下顎頭に着目し、顎関節で生じる延長力に対する間接反力(reaction force)がラット下顎頭に及ぼす影響を調べることとした。 本研究では、骨延長後の延長側下顎頭に存在する骨・軟骨成長因子の動態の変化を組織免疫学的に、延長側下顎頭の3次元骨構造変化をmicro-CTを用いて形態学的に解析した。研究結果から、片側下顎骨延長を施行したラットの延長側下顎頭では、正常なラットの顎関節窩内でみられるような、バランスを保った位置にある下顎頭に比べ、過剰な負荷が加わったことによる成長因子の過剰産出とそれに伴う骨質の低下から、下顎骨成長が総体的に低下することが示唆された。 現在の臨床において、骨延長法を施行する時期について諸説が議論されている。しかし本研究結果から、特に成長途中にある患者の下顎骨延長に関しては、その患者の成長パターンを十分に把握し慎重に治療計画を立案しなければ、患者の下顎骨の主な成長の場である下顎頭の成長能力を抑制してしまう可能性があることが示唆された。
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