Research Abstract |
神奈川県横浜市の園児5〜6歳児を対象に,フッ素洗口を行い,洗口開始からの唾液中のフッ素濃度と唾液中のミュータンスレンサ球菌の濃度の変化を経時的に調査し比較換討した。 フッ素洗口は水道水にて洗口の練習後,225ppmF,5ml,10秒とし,週5日行った。唾液の採得は洗口22時間後に刺激唾液を採得し,洗口開始前(Baseline),洗口開始7日後,l,2,3か月後に行い,フッ素濃度採得試料とした。フッ素濃度の計測はフッ素電極(Orion Combination F electrode, Mode1 920A, Orion Research)を用いた。ミュータンスレンサ球菌の測定は,簡易細菌数測定法Dentocult SMを用い,指示書にしたがい,Score0〜3まで4段階に分類した。 対象者のdeft, dmfsはそれぞれ3.67,7.7であった。対象者において洗口剤の誤飲は認められなかった。唾液中フッ素濃度はbaseline時は0.012ppmF,7日後,l,2,3か月後でそれぞれ0.015,0.015,0.017,0.019ppmFと上昇し,lか月以降はbaselineと比較して有意に高い値を示した。 対象者の67%がミュータンスレンサ球菌レベルはScore2,3に分類され,う蝕ハイリスク集団であることが分かった。しかし,フッ素洗口に伴い,ミュータンスレベルは減少し,3か月後において有意に減少を示した。 以上より,今研究におけるフッ素洗口法は通常法と比べ洗口量は少なく,洗口時間が短いにもかかわらず唾液中のフッ素濃度,およびミュータンスレンサ球菌レベルに影響を及ぼすことが示唆された。 今後,ミュータンスレンサ球菌に及ぼす影響を詳細に検討する予定である。
|