2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病におけるカルプロテクチンを介した生体防御機構の解明
Project/Area Number |
13672188
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 淳一 徳島大学, 歯学部, 助教授 (10195315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 正俊 徳島大学, ゲノム機能研究センター, 助教授 (20224438)
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Keywords | カルプロテクチン / 歯周病原細菌 / Lipopolysaccharide / 好中球 / 歯周病 / 生体防御 |
Research Abstract |
歯周病における白血球由来カルプロテクチン(CPT)の制御機構を解明するために,歯周病を伴う歯肉組織中のCPTの局在および病原因子の歯周病原菌由来lipopolysaccharide (LPS)によるCPT発現への影響について検討を行った。歯周炎患者より外科処置時に歯肉組織を採取し,抗CPT抗体を用いて免疫組織染色を行った。健常人の末梢血より分離した好中球をP. gingivalis由来LPS(P-LPS)により処理し,細胞と培養上清中のCPTをWestern blot法で同定し,その量をELISA法で測定した。歯肉組織の炎症性細胞浸潤と上皮層にCPTの発現が見られた。P-LPSによる30分間の処理でCPTの分泌増加が認められた。また,この分泌促進効果はP-LPS濃度依存性(0.1-1000ng/ml)を示し,1000ng/ml P-LPSでは約16倍の分泌促進が見られた。A. actinomycetem-comitans, P. intermedia, F. nucleatum由来のLPSについても分泌促進効果が見られたが,P-LPSが最も強い効果を示した。そこで,LPSによるCPTの分必促進機構を検討するためにLPSのsignal transductionへの関与が知られているCD14, Toll-like receptor (TLR)2&4の各抗体およびNF-κB阻害剤を用いて,P-LPS誘発性CPT分泌に及ぼす影響を調べた。その結果,抗CD14および抗TLR2抗体により有意な分泌促進阻害が見られたが,TLR4抗体では効果は認められなかった。また,5種類のNF-κB阻害剤によりP-LPS誘発性NF-κB結合活性の促進阻害(Gel shift assay)とCPTの分泌促進阻害が認められた。また,RT-PCR法を用いてCPTのサブユニットであるMRP8と同14のmRNAの発現を調べたが,P-LPSによるMRP8/14のmRNA発現への影響は認められなかった。 以上の結果から,P. gingivalisを含む歯周病原菌由来LPSは好中球からのCPT分泌を促進することが明らかとなった。また,このLPSによるCPT分泌促進機構には,CD14-TLR2-NF-κB経路の関与が示唆された。
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