2001 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモジュリンを介した好中球と歯肉上皮細胞の新たな接着機構の解明
Project/Area Number |
13672193
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松山 孝司 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40253900)
|
Keywords | トロンボモジュリン / 好中球 / 接着機構 / 上皮細胞 |
Research Abstract |
本研究は、歯肉上皮細胞におけるトロンボモジュリンの発現とその意義のなぞを解明する手がかりとして、トロンボモジュリンの分子構造の一つであるレクチン様ドメインに着目した。一般に接着分子の一つであるセレクチンファミリーの分子構造は、トロンボモジュリンと類似しており、そのレクチンドメインが好中球の細胞表面糖鎖であるシアリルと結合し好中球接着に重要な役割を果たしていることが示唆されました。 そこで、トロンボモジュリンとポジティブコントロールとしてE-セレクチンに対するヒト末梢血から分離した好中球の付着能を調べた。すなわち、16穴チャンバースライドをあらかじめ,0.5M baicarbonate buffer(pH9.7)を用いて、0,1.25,2.5,5,10ug/mlの濃度で固相化した。それぞれの固相化したウェルに好中球を5×10^5cells/well播種した。37℃、5%CO_2、95%Air条件下で30分インキュベートした後、未付着の好中球をphosphate buffered saline(PBS)で洗浄した。洗浄後、10%緩衝ホルマリンで固定後、ヘマトキシリン染色し、封入後、付着細胞をカウントした。E-セレクチンおよびトロンボモジュリンの2.5ug/ml以上で、明らかな好中球付着数の増加が観察された。トロンボモジュリンの好中球に対する付着能は、E-セレクチンに比べ40%劣っていた。しかし、両者の付着は、抗SLe^x抗体により阻害されたことから、好中球の細胞表面のレセプターが関与していることが明らかになった。これらのことは、E-セレクチンで報告されているようにトロンボモジュリンの分子構造であるレクチン様ドメインとの関わりが予想された。 したがって、今後、トロンボモジュリン発現上皮細胞と好中球を使用し、トロンボモジュリンを介した細胞間の相互作用を調べていく予定である。
|