2002 Fiscal Year Annual Research Report
オキシド酸素の電子対供与性を基盤としたN-オキシド化合物の新機能開拓
Project/Area Number |
13672204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 誠 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50207792)
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Keywords | 不斉配位子 / 触媒 / アミンN-オキシド / ホモプロパルギル化反応 / アレニル化反応 / アルドール反応 / エポキシド開環反応 |
Research Abstract |
オキシド酸素の電子対供与性を基盤としたN-オキシド化合物の新機能開拓を目的とし,各種キラルN-オキシド配位子を設計・合成してその不斉触媒反応への応用を検討し,以下の成果を得た。1,N-オキシドを触媒とするトリクロロアリルシランによるアルデヒドの不斉アリル化反応をアレニルおよびプロパルギル化合物に適用したところ,アレニルトリクロロシランからはホモプロパルギルアルコールが,プロパルギルアルコールからはホモアレニルアルコールが特異的に得られることが分かった。さらに(S')-3,3'-ジメチル-2,2'-ビキノリンN, N'-ジオキシドを触媒として不斉反応へと拡張したところ,Lewis塩基を触媒とするアルデヒドの初めての不斉アレニル化反応が実現できた。2,N-オキシド誘導体が,四塩化ケイ素によるmeso-エポキシドの不斉開環反応の触媒として有用であり,(S)-2,2'-ビイソキノリンN, N'-ジオキシドを触媒とすれば,最高90% eeで対応するクロロヒドリンが得られることを見出した。さらに,その反応性・立体選択性には二つのN-オキシドが配位した6配位シリカートが重要な役割を果たしていることが分かった。3,N-オキシドがトリクロロシリルエノールエーテルとアルデヒドのアルドール反応を触媒し,用いるN-オキシドの配位数により,生成物のsyn/anti選択性を制御できることを見出した。(S)-2,2'-ビイソキノリンN, N'-ジオキシドを触媒とすると,原料のオレフィンの幾何異性を反映したアルドール成績体が,最高82% eeで得られることが分かった。これらの結果は,有機合成化学におけるN-オキシドの配位子としての新たな可能性を拓くものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Nakajima et al.: "Selective Synthesis of Optically Active Allenic and Homopropargylic Alcohols from Propargyl Chloride"Tetrahedron : Asymmetry. 13. 2449-2452 (2002)
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[Publications] M.Nakajima et al.: "Enantioselective Ring Opening of meso-Epoxides with Tetrachlorosilane Catalyzed by Chiral Bipyridine N, N'-Dioxide Derivatives"Tetrahedron Letters. 43. 8827-8829 (2002)
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[Publications] A.Nakamura et al.: "Studies Directed toward the Total Synthesis of Pinnatoxin A : Synthesis of the 6,5,6-Dispiroketal (BCD Ring) System by Double Hemiketal Formation / Hetero-Michael Addition Strategy"Tetrahedron. 58. 10353-10374 (2002)