2001 Fiscal Year Annual Research Report
フォスファチジルイノシトール 3,5-ビスフォスフェートの全合成
Project/Area Number |
13672215
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
白井 隆一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学教育研究センター, 助教授 (80183838)
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Keywords | PI3, 5-P2 / フォスファチジルイノシトール / セカンドメッセンジャー / 細胞内情報伝達 / 不斉合成 / 全合成 / 立体選択的合成 / グルコース |
Research Abstract |
膜輸送に関与する新規なセカンドメッセンジャーとしてフォスファチジルイノシトール3,5-ビスフォスフェート(PI3,5-P2)が発見され、これに対する関心が世界的に急速に高まっているが、それ自身は他のセカンドメッセンジャーと同様に超微量成分であるために生化学的研究に必要な量を確保することは相当困難である。PI3,5-P2が関与する情報伝達機構の解明にはこれと特異的に結合して細胞内情報ネットワークを担う蛋白質の発見が強く望まれているが、そのためにはPI3,5-P2を有機合成化学の支援により十分な量を供給することが必須である。さらにアフィニティクロマトグラフィーによりPI3,5-P2に特異的に結合する蛋白質の同定が待たれている。本研究では光学活性なブドウ糖を出発原料とするPI3,5-P2の立体選択的な合成研究を推進し、その細胞内での機能解明を通じて情報伝達機構の解明を目的とし、本年度はPI3,5-P2の全合成の完結を目指して研究を行った。 D-グルコース由来のアルデヒドに対してビニル銅試薬の1,2-付加を行い、対応するアリルアルコールを単一のジアステレオマーとして得た。次いで脱保護により遊離したヘミアセタールにWittig反応を行って1,7-ジエンとし、さらに閉環メタセシスによりシクロヘキセン環を構築した。次いで水酸基に種々の保護基を導入して触媒的四酸化オスミウム酸化を行ない、イノシトール部分の合成を行い、さらに数工程を経てPI3,5-P2の全合成を完了した。
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Research Products
(1 results)