2002 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉ベイリス-ヒルマン反応の展開に基づく置換クエン酸天然物の合成研究
Project/Area Number |
13672221
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩渕 好治 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑山 範 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20143000)
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Keywords | Baylis-Hillman反応 / 不斉合成 / 不斉触媒 / 置換クエン酸天然物 / キラル3級アミン / 求核触媒 / cinchona alkaloid |
Research Abstract |
本研究は、最近我々が開発した高エナンチオ選択的触媒的不斉Baylis-Hillman反応(J.Am.Chem.,Soc.,1999,121,10219)の基質適用性をα-ケトエステルへと拡張し、不斉4級炭素を構築するための新たな触媒的不斉合成法の確立を図るとともに、その反応生成物の活用による置換クエン酸天然物の一般的合成法の開発を目指すものである。 cinchonaアルカロイドから導いたキラル3級アミンとヘキサフルオロイソプロピルアクリラートを用いる本触媒反応系の基質適用性ならびに大量合成への適用性を検討した結果、本反応が複数の官能基が存在する長鎖アルキルアルデヒドやキラルN-保護-α-アミノアルデヒドにも十分に適用可能であることが確認でき、これより免疫抑制活性天然物マイセステリシンEおよび植物細胞壁生合成阻害天然物エポプロマイシンBの合成に成功した(Chem.Commun.2001,2030;Tetrahedron Lett.2001,42,7867)。 しかし、α-ケトエステルを基質とする場合、反応は高収率かつ速やかに進行するものの、不斉収率は最大でも50%eeに留まることが判った。そこで、N-置換アルドイミンを基質とした不斉Baylis-Hillman反応を行ったところ、アルデヒド基質の場合と逆のエナンチオ選択性で反応が進行することが判明した。また、アクリラート反応剤についても検討を行ったところ、鎖状構造を有するアクリラートでは高収率で生成物が得られるもののエナンチオ選択性が殆ど発現しないことが確認された。以上より、アルデヒド以外の基質を求電子反応剤として用いるためには、基質、反応剤とも適切な分子設計を図る必要があることが新たに確認された。 現在、置換クエン酸天然物の合成を視野に入れ、基質をγ-アルコキシ-α-ケトブタン酸エステルに固定して、そのエステル部の構造修飾を行い、不斉収率の向上を目指した検討を行っている。
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Research Products
(1 results)