2002 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応に適合する新規配位子系の開発と応用
Project/Area Number |
13672225
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
森本 俊明 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (60046307)
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Keywords | 不斉配位子 / 不斉触媒 / ホスフィン配位子 / 銅触媒 / スルホンアミド配位子 / 共役付加 / ジエチル亜鉛 / エナンチオ選択性 |
Research Abstract |
L-バリノールから得られるキラル素子2-アミノアルキルホスフィンを用い、既にN-2-ピリジルメチレン誘導体配位子を合成しているが、さらに本キラル素子の各種N-スルホンアミド型配位子を合成した。N-スルホンアミド型配位子について、銅触媒を用いるジエチル亜鉛の不斉共役付加反応を選び、基質としてはまず環状エノンである2-シクロヘキセノンを用いて反応条件も含め検討した。その結果、N-(1R)-10-カンファースルホニル基をもつ配位子が最も優れた選択性(〜73%ee)を示し、スルホニル基部分を変えることによって選択性の改善が図れることがわかった。また、鎖状エノンであるカルコンについても同様に反応した結果、選択性は中程度であったが、N-(1R)-10-カンファースルホニル基をもつ配位子の選択性で絶対配置が他の配位子と逆になるという興味ある結果を得た。さらに、他の基質についてもこれまでに開発してきた各種配位子を用い、異なるタイプの不斉触媒反応も含めて検討した。すなわち、α,β-不飽和ラクトンやβ-ニトロスチレンに対するジエチル亜鉛の銅触媒不斉共役付加反応や、類縁のスルホニルイミンへの付加反応、さらに異なるタイプの反応であるロジウム触媒を用いるオキサベンゾノルボルナジエンに対するN-メチルアニリンの付加反応について検討した。その結果、ニトロスチレンやスルホニルイミンに対する付加反応では選択性は非常に低かったが、6員環状ラクトンでは中程度(63%ee)の選択性であり、オキサベンゾノルボルナジエンの反応ではN-トシル型配位子が比較的高い選択性(78%ee)を示すことが明らかとなった。以上のように、本キラル素子をもつ各種P, N型配位子は、以前に報告したパラジウム触媒反応に加え銅触媒やロジウム触媒反応でも有効な不斉配位子として機能することを明らかにした。
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