2003 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応に適合する新規配位子系の開発と応用
Project/Area Number |
13672225
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
森本 俊明 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (60046307)
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Keywords | 不斉配位子 / 不斉触媒 / ホスフィン配位子 / 銅触媒 / スルホンアミド配位子 / 共役付加 / ジエチル亜鉛 / エナンチオ選択性 |
Research Abstract |
銅触媒を用いるジエチル亜鉛の不斉共役付加反応に関して、すでに2-アミノアルキルホスフィンをキラル素子として用いNに各種のヘテロ官能基を導入した誘導体であるN-2-ピリジルメチレン誘導体やN-ピリジル-2-カルボニル誘導体、N-スルホニル誘導体などのP,N型配位子を開発し、環状エノンの2-シクロヘキセン-1-オンで比較的良い選択性を示すことを報告してきたが、鎖状エノンではあまり良い選択性をあげることができなかった。そこで、この不斉炭素骨格をより高い選択性が期待される軸不斉ビナフチル骨格とし、同様にアミノとホスフィノ基を有するキラル素子を利用することにし、そのN-スルホンアミド型配位子の一つとしてN-トシル体を合成した。その合成は、従来のアミノヒドロキシ体を光学分割する手間のかかる手法は用いず、安価な光学活性BINOLを出発物質として触媒反応や転位反応を利用する簡便な新規ルートで行った。本配位子の評価は、従来高いエナンチオ選択性をあげることが困難で有効な不斉配位子が数例しかなかった鎖状エノンのベンジリデンアセトンを基質とし、ジエチル亜鉛の銅触媒不斉共役付加反応で行った。その結果、本配位子は種々の溶媒系や銅塩を用いても、反応温度は低温でなく室温でも、また触媒量は0.5モル%の少量でも反応し、94〜99%eeの高い選択性を示すことから非常に優れていることが明らかとなった。さらにベンゼン環に官応基をもつベンジリデンアセトン誘導体についても同様に検討し、その多くが95%ee以上の高い選択性を示すことがわかった。以上のように、研究者のオリジナルなスルホンアミド基とホスフィノ基をもつP,N型不斉配位子で、軸不斉を骨格として導入することによってエナンチオ選択性を非常に高めることに成功した。
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