2002 Fiscal Year Annual Research Report
顕著な生理活性を有するフラノセンブラン類の合成研究
Project/Area Number |
13672238
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
津吹 政可 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (90163865)
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Keywords | ピンナチンA / ゲルソラン / フラノジテルペン / 鈴木クロスカップリング / シクロプロパン化 / グリセルアルデヒド |
Research Abstract |
ピンナチンAは1998年に八方サンゴPseudopterogorgia bipinnataより単離された13員環を持つゲルソラン型ジテルペンで、腎臓、卵巣及び肺等のガン細胞に対して強い細胞毒性を有する。本化合物は新規なシクロプロピルフラン単位を有すること、並びに顕著な生理作用を示すことから、その合成法の確立と生理作用との構造活性相関に興味が持たれる。本合成においては、シクロプロパン環,γ-ブテノリド並びにsyn-ホモアリルアルコール単位の立体選択的構築が課題となる。前年度の知見を基に環状フルフリルエーテルのWittig転位を経由するピンナチンAのキラル合成を検討する。本研究では、クロスカップリングを用いることでシクロプロピルフラン部分のジアステレオ選択的な構築法を確立した。すなわち、(R)-2,3-シクロヘキシリデングリセルアルデヒドより2工程で得られる(S, E)-2-(1-ヨードプロペン-2-イル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカンと3-メチル-2-メトキシカルボニル-5-フランボロン酸エステルとの鈴木クロスカップリングにより、(S,E)-5-{2-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-2-イル)-1-プロペン-1-イル}-3-メチル-2-フランカルボン酸メチルエステルを調製し、このもののSimmons-Smith反応によるシクロプロパン化により目的とする5-{2-(1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカ-2-イル)-2-メチルシクロプロピル}-3-メチル-2-フランカルボン酸メチルエステルを合成した。一方、シクロプロピルボロン酸誘導体と5-ブロモ-3メチル-2-フランカルボン酸メチルエステルとのクロスカップリングも検討した。モデル化合物として2-ベンジルオキシメチル-2-メチルシクロプロピルボロン酸と5-ブロモ-3メチル-2-フランカルボン酸メチルエステルとの鈴木クロスカップリングを種々の条件下で検討したところ、5-(2-ベンジルオキシメチル-2-メチルシクロプロピル)-3-メチル-2-フランカルボン酸メチルエステルを良好な収率で得ることに成功した。さらに、フラノセンブラン類の合成におけるモデル化合物であるsyn-及びanti-3-イソプロピル-12-メチル-13-オキサビシクロ[8.2.1]トリデカ-1(12),10-ジエン-2-オール等の種々の分析化学的手法による効率的な分離方法の確立にも成功した。 以上のように、鈴木クロスカップリングを用いることでピンナチンAのシクロプロピルフラン部分を効率的に構築できることが判明した。
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Research Products
(1 results)