2003 Fiscal Year Annual Research Report
合成化学的アプローチによる硫酸化チロシンの関与する生体反応の解析
Project/Area Number |
13672241
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
北川 幸己 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (60093853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 由美 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (50329330)
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Keywords | 化学合成 / 固相ペプチド合成 / 硫酸化チロシン / タンパク質硫酸化 / ペプチド性貝毒 / α-コノトキシン / ジスルフィド結合 / コレシストキニン |
Research Abstract |
1.我々が開発した硫酸化ペプチドの簡便な固相合成法とチオエステルセグメント縮合法を組合わせたアプローチにより、大分子型のコレシストキニン(CCK-58)の全化学合成を達成するとともに、CCK-58がCCK-8、CCK-33と同等の膵外分泌活性をもつことを明らかにし、論文としてまとめた。 2.化学合成したα-conotoxin PnIA/PnIBについて、ウシ副腎クロム親和性細胞からアセチルコリンによって惹起されたカテコールアミンの分泌阻害作用を、非硫酸化体のものと比較した。PnIA/PnIBともに、硫酸化体は非硫酸化体と同等ないしは数倍強いカテコールアミン分泌阻害作用をもつことがわかった。同時にジスルフィド架橋様式が天然のものと異なるアイソマー(非硫酸化体)が、微弱ではあるが確実なカテコールアミン分泌阻害作用をもつことを新たに明らかにした。 3.Asp残基の側鎖カルボキシル基を利用した硫酸化α-conotoxin EpIの合成を、2つの経路により達成した。EpIはPnIA/PnIBよりも強いカテコールアミン分泌阻害作用をもち、この場合も硫酸化体の方が非硫酸化体よりも強い阻害作用を示すことを明らかにした。 4.固相樹脂上での硫酸化という新しい方法論を開拓するため、モデルとしてロイシン-エンケファリン(Fmoc-Tyr-Gly-Gly-Phe-Leu-resin)を選び、硫酸化の反応条件を検討した。 5.ペプチド・タンパク質中の硫酸化部位を同定する新しい手法を開拓するため、当研究室で合成した硫酸化ペプチドを用いて、キモトリプシンによる酵素加水分解を非硫酸化体のものと比較した。この実験から硫酸化チロシンはキモトリプシンによる酵素加水分解に抵抗性を示すことが明らかとなり、この酵素反応と質量分析を組合わせることで硫酸化部位の同定が可能であることを示した。
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Research Products
(1 results)