2001 Fiscal Year Annual Research Report
多様な構造の基質を認識する輸送担体を利用したドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
13672247
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奈良 敏文 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (30241350)
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Keywords | 消化管吸収 / ジペプチド輸送担体 / モノカルボン酸輸送担体 / ドラッグデリバリー / 蛍光化合物 / Caco-2 / ANS |
Research Abstract |
本研究では、デリバリーに応用するために、dipeptide輸送担体の基質認識性の疎水ポッケトの性質のより詳細な検討と新規モノカルボン酸輸送担体のキャラクタリゼーションを行った。 (i)基質の脂溶性の及ぼす影響と脂溶性ポケットの実証 : 様々な長さの脂肪酸をdipeptide(Val-Lys)に付加した化合物の合成を行い、脂溶性と基質認識性との関係を検討した。その結果、脂溶性の高い化合物ほど、dipeptide輸送担体に対する親和性が増大した。更に、脂溶性蛍光化合物2-anilino-6-naphthalene sulfonate(ANS)を付加したVal-Lys(ANS)を合成し、蛍光変化により基質認識に脂溶性ポケットが関与するか否かについて検討を行った。その結果、この蛍光化合物がdipeptide輸送担体の基質であり、輸送担体に結合する事により蛍光強度を増すことを見い出した。 (ii)dipeptide輸送担体の大量発現系の構築 : これまで、基質認識性はdipeptide輸送担体を発現しているヒト結腸癌細胞Caco-2に於けるGly-Sarの取り込み阻害度により解析してきたが、発現量が少ないため詳細な解析が望めなかった。そこで、CHOおよびHela細胞における大量安定発現系の構築を行い、Caco-2の30倍以上発現している安定発現系の構築に成功した。Dipeptide輸送担体により基質が取り込まれるとき、H^+の流入が生じ細胞内pHが変化する。これを利用して、様々な基質の取り込み過程の測定が可能となった。蛍光色素(bis-carboxyethyl-carboxyfluorescein(BCECF))を用いた蛍光共焦点レーザー顕微鏡による細胞内pH変化の測定により、基質の取り込み過程が細胞内pH変化測定により見積もれることが観察された。 (iii)新規モノカルボン酸輸送担体のキャラクタリゼーション : 小腸に存在する新規モノカルボン酸輸送担体は、これまでに様々なモノカルボン酸薬物を認識することが分かった(消炎症剤から抗生物質まで)。報告されているMCT1-9のモノカルボン酸輸送担体のアイソフォームの内、Caco-2に発現しているものは、MCT1,4,5,6である。これらの輸送担体をライブラリーを作成して、すべてクローン化した。現在、このクローンの発現系を構築して、モノカルボン酸の輸送活性を検討中である。これをもとに、どの程度の分子サイズを認識するか、カルボン酸以外の構造上の特徴について検討を付け加える。(奈良、宮内担当)
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Research Products
(1 results)