2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓表面からの吸収を利用した癌病巣部位への制癌剤の選択的送達と滞留性の向上
Project/Area Number |
13672255
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 純三 長崎大学, 薬学部, 教授 (30115901)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 幹郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00260737)
栄田 敏之 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00304098)
西田 孝洋 長崎大学, 薬学部, 助教授 (20237704)
川上 茂 長崎大学, 薬学部, 助手 (20322307)
向 高弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (30284706)
|
Keywords | 肝臓 / 薬物送達 / 肝臓表面投与 / 5-fluorouracil / DDS / ラット / 抗癌剤 / 癌化学療法 |
Research Abstract |
肝疾患治療における新規投与形態として、我々は肝臓表面への直接投与を提案し、これまでに肝臓表面からの薬物吸収メカニズム、投与部位近傍への薬物集積の可能性を明らかにしてきた。本研究では、本投与法の癌化学療法への臨床応用を想定し、抗癌剤5-fluorouracil(5-FU)の肝臓表面からの吸収性および吸収後の体内動態について検討した。 Pentobarbital麻酔下、Wistar系雄性ラット(250〜300g)の肝臓外側左葉に円筒状のガラス製拡散セル(内径9mm)を外科用アロンアルファで装着し、PBSに溶解した5-FU5mgを拡散セル内に投与した。投与後、右大腿動脈から経時的に血液を採取した。所定の時間に拡散セル内の残存薬液を回収し、肝臓、腎臓、脾臓、肺、心臓を摘出した。摘出した肝臓は、拡散セル直下の投与部位(site1)、投与部位を除いた外側左葉(site2)、非投与葉(site3)の部位に分けた。5-FU濃度は、HPLC-UV法により測定した。 肝臓表面へ5-FUを投与後360分までに約70%が吸収されたのに対し、血中濃度は低く抑えられた。肝臓表面からの5-FUの吸収は、一次速度式に従い、その透過係数をこれまで検討してきたモデル薬物と比較したところ、分子量との相関が示された。一方、肝臓表面投与後60分において、肝臓内のsite1には5-FUが分布したものの、その他の部位では検出限界以下であった。これらの結果より、肝臓表面投与は、5-FUの他臓器への分布を抑え、投与部位近傍に集積できる可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)