2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性アリールボロン酸を標識試薬に用いるアリールハライドの新規高感度定量法の開発
Project/Area Number |
13672256
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
黒田 直敬 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50234612)
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Keywords | 蛍光標識試薬 / 高速液体クロマトグラフィー / アリールボロン酸 / アリールハライド / 蛍光検出 / クロフィブラート |
Research Abstract |
前年度までの研究において,蛍光性アリールボロン酸である4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2yl)phenylboronic acid(DPA)がアリールハライドとSuzuki coupling反応により効率的に反応し,蛍光標識体を与えることが確認された。本年度は具体的なアリールハライド型医薬品を対象として,蛍光標識反応の最適化を図り,本標識法の血液等の生体試料分析への適用性を評価した。 1.アリールハライド型医薬品であるクロフィブラート(高脂血症薬)を対象に蛍光標識反応の最適化を行った。その結果,反応溶媒にジメチルホルムアミドを用い,100℃,45分間の反応で効率的な標識が可能となった。蛍光標識クロフィブラートの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分離後の検出下限は,120fmol/注入量と高感度であった。 2.生体試料への適用例として,ヒト血漿中クロフィブラートのHPLC-蛍光定量法を検討した。クロフィブラートを添加した血漿(50μL)を用いて,前処理法の検討を行った。その結果,酢酸エチルで液-液抽出を行うことで効率的な抽出が可能となった。クロフィブラート添加血漿の検量線は1〜400nmol/mLの範囲で良好な直線性(r=0.998)を示し,280fmol/注入量(170pmol/mL, S/N=3)の検出が可能であった。 以上の検討により,DPAによる蛍光誘導体化法が生体試料中クロフィブラートの高感度分析に適用可能であることが示された。DPAによる本標識法は高感度であり,他に有効な標識可能部位を持たないアリールハライド型医薬品の定量に有用である。また,生体試料中にアリールハライド型化合物は極めて少ないことから,種々のアリールハライド型医薬品の選択的定量が可能になるものと考える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Mitsuhiro Wada, et al.: "A simple HPLC-fluorescence detection of nitric oxide in cultivated plant cells by in situ derivatization with 2,3-diaminonaphthalene"Analytical Sciences. 18. 631-634 (2002)
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[Publications] Yen Sun, et al.: "Determination of bisphenol A in rat brain by microdialysis and column switching high-performance liquid chromatography with fluorescence detection"Biomedical Chromatography. 16. 319-326 (2002)
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[Publications] 和田光弘: "カタラーゼ活性の過シュウ酸エステル化学発光検出に基づく食品の細菌汚染評価に関する基礎的検討"分析化学. 51. 123-126 (2002)
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[Publications] Naotaka Kuroda, et al.: "Chemiluminescence Detection in Liquid Chromatography in "Chemiluminescence in Analytical Chemistry" ed. By W.R.G. Baeyens, et al."Marcel Dekker, Inc.. 34 (2001)