2002 Fiscal Year Annual Research Report
新興β-ラクタム剤耐性菌酵素の部位特異変異と精密な速度論的測定による活性相関
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13672257
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森 弘正 熊本大学, 薬学部, 助教授 (40040315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 博雅 熊本大学, 薬学部, 助手 (70234599)
後藤 正文 熊本大学, 薬学部, 教授 (50080180)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / メタロ-β-ラクタマーゼ / β-ラクタム加水分解 / PCR / 部位特異的変異酵素 / Co(II)置換酵素 / X線結晶構造解析 / 可視吸収スペクトル |
Research Abstract |
本研究は、カルバペネムをはじめほとんどのβ-ラクタム剤を分解する新興薬剤耐性菌の産生するメタロ-β-ラクタマーゼの基質加水分解機構を明らかにすることを目的とした。 【1】基質イミペネムの加水分解を指標にし、pHおよびZn(II)濃度を変えて活性を測定し、速度論的パラメータからZn(11)イオンの脱離による活性の消失、Zn(II)イオンの解離定数を決定した。 【2】亜鉛結合配位子である81位DをA、E、Nに置換した変異酵素を調製し、速度論的パラメータを求め、変異により触媒効率が数百倍から数千倍低下し、亜鉛イオンとの親和性も小さくなり、このアミノ酸が触媒及び金属イオンとの親和性に関与することを明らかにできた。基質結合に関与するフラップの28位WをSに置換した酵素を調製し、このWの置換により基質との親和性が低下し、基質の導入と結合にWが関与していることが分かった。触媒過程は加水分解中間体ヘプロトンを供給するアミノ酸残基を検討した。候補である80位SをGに置換した酵素を調製したが、この残基は機能しないことが分かった。 【3】確立したアポ酵素調製法を使って、野生型及びD81AとD81E変異酵素の金属結合部位の配位環境を比べた。嫌気条件下Co(II)滴定を行い、電子スペクトルを測定した。野生型及びD81E変異酵素は2ヶのCo(II)イオンを含み、D81E酵素はCo(II)のd-d遷移の吸収から金属結合サイトの一つが5配位構造であること分かった。また、Co(II)酵素を我々が開発した阻害剤チオール誘導体で滴定し、チオール化合物が直接金属イオンに結合することを明らかにできた。 【4】既にconcha等(2000)により野生型IMP-1酵素のX線結晶構造解析はなされている。我々は、D81E部位特異酵素の結晶の調製を行い、Spring 8ビームラインを使って回折データを得、X線結晶構造解析を行い、活性部位付近の構造を精査し、野生型酵素と構造を比較した。全体として大きな違いはみられず、Zn(II)-Zn(II)間の距離が3.3Åから3.7Åと長くなり、架橋配位水構造は消失していた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Goto, H.Yasuzawa, T.Higashi, Y.Yamaguchi, A.Kawanami, S.Mifune, H.Mori, H.Nakayama, K.Harada, Y.Arakawa: "Dependence of Hydrolysis of β-Lactams with a Zinc(II) β-Lactamase Produced from Serratia marcescens (IMP-1) on pH and Concentration of Zinc(II) Ion : Dissociation of Zn(II) from IMP-1 in Acidic Medium"Biol. Pharm. Bull.. 26(5). (2003)