2001 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミンの体内動態を検索するための方法論の開発と固形癌への応用
Project/Area Number |
13672261
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
鮫島 啓二郎 城西大学, 薬学部, 教授 (00072413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 ひとみ 城西大学, 薬学部, 助手 (30170690)
新津 勝 城西大学, 薬学部, 教授 (00077976)
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Keywords | ポリアミン / 安定同位体 / 体内動態 / 癌 / イオンスプレーイオン化 / 質量分析 / トレーサー実験 / ジアセチルスペルミン |
Research Abstract |
研究の目的および本年度研究実施計画に基づきほぼ予定通りの実績をあげることができた.安定同位体標識ポリアミンを用いるポリアミントレーサー実験法の開発では,必要な^<15>N-ポリアミンを既に報告した^<15>N-硫安からの高収率合成法に従い先ず調製し,次ぎに内標準物質に用いる^<13>C,^<15>N-ポリアミンの合成を行った.基本化合物の^<13>C,^<15>N-プトレシンは^<13>C-シアン化カリウムと^<15>N-フタルイミドカリから合成していたが,反応工程数が多く最終収率が落ちるため^<13>C,^<15>N-シアン化カリウムを用いる方法を検討した.^<13>C,^<15>N-スクシノジニトリルの常圧接触還元条件を種々検討し,高収率で再現性の良い方法を開発した.このようにして得られた標識体標品を用い,IS-MSによる内在性および^<15>N-ポリアミン全6種を同時に定量する方法を検討し,十分信頼できる方法であることを確かめた.開発した方法の応用として,^<15>N-ポリアミンをラットに経口投与して小腸,肝臓,腎臓への移行を調べた結果,本法がポリアミンの吸収,分布,代謝,排泄を調べる方法として画期的な方法であることが証明された.今後は本法を十分に活用してポリアミンの調節による癌細胞の増殖抑制を目指す予定である.測定対象化合物の拡張では,癌の進行状況を把握するためのマーカーとして最近注目されているN^1,N^<12>-ジアセチルスペルミン(Ac_2Spm)をIS-MSによるポリアミン定量法に加えることを目的とした.そのために内標準物質として用いる^<15>N-Ac_2Spmの合成を先ず検討し良い収率で純品を得ることができた.次いで癌患者尿への添加回収実験を試み,十分信頼できる方法であることを確かめた.Ac_2Spmを定量する方法としてELISA法があり,両方法で17名の癌患者尿を測定し比較した結果,相関係数0.94となりいずれも信頼性のある方法であることが証明された.同定しながら定量できる本法は,同定はできないがルーチン測定が可能なELISA法の有用性を確かめたという点で意義がある.
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[Publications] Yong Ji Xu et al.: "Simultaneous Determination of Endogenous and Orally Administered ^<15>N-Labeled Polyamines in Rat Organs"Anal. Biochem.. 301・2. (2002)
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[Publications] Masaki Kobayashi et al.: "Mass Spectrometric Separation and Determination of N^1, N^<12>-Diacetylspermine in the Urine of Cancer Patients"Biol. Pharm. Bull.. 25・3. (2002)