2001 Fiscal Year Annual Research Report
生体内在性ラジカルとα-Tocopherolの相互作用に関する分子レベルでの研究
Project/Area Number |
13672262
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
伊藤 佳子 (永田 佳子) 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (40228036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 秀子 共立薬科大学, 薬学部, 助教授 (10240996)
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Keywords | α-トコフェロール / 一酸化窒素 / 酸化ストレス / ラジカル / 抗酸化 |
Research Abstract |
生体内で種々の酸化ストレスに対し優れた防御効果を示すα-トコフェロール(α-Toc)と生体内在性ラジカルである酸素及び一酸化窒素(NO)との反応性を詳細に検討した。NOは、多くの生理作用に関与する一方、比較的高濃度で発生した場合には、近傍に存在する酸素活性種との相互作用により生じる窒素酸化物が原因となり、細胞毒性を発現する。そこでNOとα-Tocの相互作用を共存酸素量を制限した緩和な反応条件下で検討し、α-Tocから生じるtocopheroxyラジカルの反応性を制御することで、生体に近い反応系を設定した。 α-Tocが局在する細胞膜の脂溶性環境を考慮し、1,2-dichloroethaneのα-Toc溶液と等モルのNOおよびO_2の反応をまず検討した結果、α-Tocopherylquinone(α-TQ)、Tocoredを高収率で得た。極性溶媒であるアセトニトリル溶液の場合は生成物としてα-TQと2,3-dihydro-7a-(3-hydroxy-3,7,11,15-tetramethyl-6,10,14-hexadecatrienyl)-3,5,6,9,10,11a-hexamethyl-3-(4,8,12-trimethyl-3,7,11-tridecatrienyl)-1H-Pyrano[2,3a]xanthene-8(7aH),11(11aH)-dione(Dimer)を約10〜20%の収率で得た。さらにα-Tocの生体内での存在環境(水-脂質二層系)に近い状態で反応を行う為、可溶化剤水溶液を用いて、反応の検討を行った結果、α-TQのみが生成し、α-TocとNOとの反応速度は、可溶化剤の種類により大きく異なった。 これらの結果は、α-Tocの酸化において生成する複数の中間体の安定性が溶媒によって変化していることを示している。また、可溶化剤を用いた水中の反応では、α-TQが主生成物として得られることが明らかとなったが、反応溶液のpHが反応性に大きく関与していると考えられ、今後さらに詳細に検討を行う。
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