2002 Fiscal Year Annual Research Report
未知オーファン蛋白質の探索と精密構造解析に関する研究
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13672266
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Research Institution | KINKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
池川 繁男 近畿大学, 薬学部, 教授 (90111301)
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Keywords | オーファン蛋白質 / 胆汁酸 / イブプロフェン / モノクローナル抗体 / アシルアデニレート / ELISA / イムノブロット |
Research Abstract |
未知オーファン蛋白質を探索し、精密構造を解析する上で、分子標的機能性機材の創出が必須となる。そこで、前年度の成果をもとに、今年度は以下の研究を行った。まず、前年度調製した抗(S)-イブプロフェン特異抗体の分子認識能を活かし、卵白アルブミン(OVA)及びグルタチオン-3-トランスフェラーゼ(GST)をモデル蛋白質として取り上げ、(S)-Ibu-蛋白質付加体のキラル選択的トレースキャラクタリゼーションに検討を加えた。まず、マイクロプレート上に固定化したOVAにモデルリガンドとして段階希釈したIbu-P-ニトロフェニルエステル(PNP)を添加し、生成した蛋白質共有結合付加体をHRP標識第2抗体とOPD/H_2O_2系を用いる比色法にて検出した。その結果、(S)-Ibu-PNPでは吸光度が用量依存的に増大する一方、(R)-antipodeでは吸光度の上昇は認められず、本抗体が(S)-Ibu-蛋白質付加体のキラル選択的な検出に有用なことが判った。引き続き、GSTとの付加体を調製後、イムノブロットによる検出に検討を加えた。その結果、(S)-Ibu-GST付加体のみが単一のバンドとして認められ、本抗体が各種免疫染色法におけるプローブとして応用可能なことが判明した。一方、病態時におけるオーファン蛋白質の変動を解析する上で、ツールとして用いる特異モノクローナル抗体が必須となる。そこで、大腸癌と関連して重要視されるりトコール酸(LCA)-蛋白質付加体を取り上げ、LCAのステロイドに高い特異性を持つモノクローナル抗体を調製した。ついで、LCA-リゾチームをモデル付加体として作成し、その構造をMALDI/TOFMSにて明らかにするとともに、イムノブロットによる検出に検討を加え、本MAbが、付加体の検出に有用なことを明らかにした。これらの研究成果は、今後未知オーファン蛋白質の捕捉と構造解析に有用な分子標的機能性機材になるものと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nariyasu Mano: "Characterization of rat liver bile acid acyl glucuronyltransferase"Steroids. 67. 257-262 (2002)
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[Publications] Nariyasu Mano: "Production of protein-bound adduct through the active intermediates in metabolism of drug and biological active substances"J. Mass Spectrom Soc. Jpn. 50. 162-170 (2002)
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[Publications] 伊藤 裕美: "抗体のキラル分子認識能を活かした光学異性薬物の捕捉とエナンチ選択的な高精密分離"ケミカル・エンジニアリング. 46. 46-53 (2002)
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[Publications] 池川 繁男: "生物薬科学実験講座 3巻 脂質"廣川書店. 382 (2002)