2001 Fiscal Year Annual Research Report
血清の増殖因子リゾホスファチジン酸の過剰産生による動脈硬化病巣の進展
Project/Area Number |
13672288
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, 薬学部, 助教授 (00035560)
|
Keywords | リゾホスファチジン酸 / リゾホスホリパーゼD / リゾホスファチジツコリン / 増殖因子 / ウサギ血清 / 高コレステロール食 / 高脂血症 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
申請者はリゾホスホリパーゼDの精製のための簡便な検定法(コリンオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ/蛍光前駆体の組み合わせによるコリン定量)を構築し、約950mlのヒト血漿から本新規酵素を精製した。30-60%硫酸アンモニウムで沈澱するタンパクを、HiPrep16/10QXL, Hydroxyapatite, HiTrap Heparin, Con A Sepharose, Phenyl-5PWカラムを用いたHPLCを行い、本酵素活性を、6.6%の収率で約27000倍に濃縮した。この精製酵素標品を電気泳動を行うと、分子量11万のタンパクのバンドが検出された。このバンドのトリプシン分解物をLC/MS/MSで解析したところ、本酵素は、ヌクレオチドホスホジエスエテラーゼ/ヌクレオチドピロホスファターゼの1種autotaxinと同定された。精製標品のN末のアミノ酸配列を調べたところ、2個の配列が決定できたので、本酵素は、2個のベプチドがS-S結合していることが明らかとなった。還元条件下で精製酵素の電気泳動を行うと、分子量3万と7.5方のタンパクのバンドが検出された。すでに報告されているautotaxinの遺伝子情報から、これらのベプチドのアミノ酸の配列をほぼ推定できた。これらの知見から、循環血液に分泌されるリゾホスホリパーゼDがリン脂質やヌクレオチドを分解することにより、多彩な生理活性を発現していることが強く示唆された。
|