2002 Fiscal Year Annual Research Report
血清の増殖因子リゾホスファチジン酸の過剰産生による動脈硬化病巣の進展
Project/Area Number |
13672288
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, 薬学部, 助教授 (00035560)
|
Keywords | リゾホスファチジン酸 / リゾホスホリパーゼD / リゾホスファチジルコリン / ヌクレオケドホスホジエステラーゼ / 血清 / 高脂血症 / 動脈硬化 / 増殖因子 |
Research Abstract |
雄ウサギを高コレステロール食で12週間飼育し、1,2,4,8,10および12週で耳介静脈から血液を採取後、血清を調製しリゾホスファチジルコリン(LPC)の分子種をGLCで分析した。その結果、コレステロール負荷に伴い血清LPC濃度が徐々に増加し10週以降では正常ウサギの値の5-6倍となることが明らかとなった。最も量の多い分子種はパルミトイル(16:0)で次いでステアロイル(18:0)、リノレオイル(18:2)、オレオイル(18:1)、アラキドノイル(20:4)種の順であった。すでに、申請者は、動物血清を37℃で保温すると、リゾホスホリパーゼDによるLPCの加水分解がゆっくりと進行し増殖因子リゾホスファチジン酸(LPA)が蓄積することを報告している。そこで、本研究では、高コレステロール食で飼育させた高脂血症ウサギの血清でリゾホスホリパーゼDによるLPA産生が亢進するか否かを試験した。37℃で24時間保温したウサギ血清のLPA量を比較すると、確かに高コレステロール食での飼育期間が長くなるにつれ、LPA産生量が増加していることが明らかとなった。興味深いことには、リゾホスホリパーゼDの基質である血清LPCの主要な5分子種がすべて高コレステロール負荷に伴い上昇しているにもかかわらず、蓄積してくるLPAの大部分は18:2分子種であった。総LPC量で補正計算した血清リゾホスホリパーゼD活性と高コレステロール負荷との相関性は低いので、この動脈硬化動物モデルでは、リゾホスホリパーゼDの基質18:2-Lpcの大幅増加により18:2-LPA産生が増大したものと思われる。また、LPAが単球系のTHP-1細胞を活性化し血管内皮細胞への接着を促進することも明らかとなった。これらの結果より、高脂血症動物の循環血液中では起炎性および細胞増殖性のLPAの産生が高まり動脈硬化病巣の進展に関与していることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] A.Tokumura: "Increased formation of lysophosphatidic acids by lysophospholipase D in serum of hypercholesterolemic rabbits"J. Lipid Res.. 43・2. 307-315 (2002)
-
[Publications] A.Tokumura: "Identification of human plasma lysophospholipase D, a lysophosphatidic acid-producing enzyme, as autotaxin, a multifunctional phosphodiesterase"J. Biol. Chem.. 277-42. 39436-39442 (2002)