2001 Fiscal Year Annual Research Report
生体内型酸化LDLの変性構造・生物活性の解析と酸化LDL最適モデルの検索
Project/Area Number |
13672303
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
板部 洋之 帝京大学, 薬学部, 助教授 (30203079)
|
Keywords | 酸化LDL / 酸化PC / 微小酸化LDL / 動脈硬化 / HPLC / モノクローナル抗体 / マクロファージ |
Research Abstract |
動脈硬化の発症要因として酸化LDLの重要性は共通認識となっている。当研究室では、モノクローナル抗体を応用した酸化LDL測定法を開発し、ヒト血漿中に酸化LDLが微量存在することを世界に先駆けて見出してきた。一方で、変性LDLのモデルとして多用されてきた硫酸銅処理による酸化LDLが、生体内で生じる酸化LDLの性状を反映しうるかどうか、が改めて問われている。近年、緩和な酸化条件で調製した微少酸化LDL(MM-LDL)が、生体内酸化LDLのモデルとなる可能性が指摘されている。そこで、種々酸化条件下、修飾の程度の異なる種々酸化LDLの性状を比較検討した。 本年度は、まずアルデヒド型酸化PCの高感度定量法を導入した。1,4-ヘキサンジオンを用いアルデヒド型酸化PCを蛍光誘導体としてHPLCにより検出すると、pmolオーダーの定量が可能となった。MM-LDLは、Berlinerらの方法に従い、0.2mg/mlのLDLを1μMのFeSO4を添加したPBS中、4℃で4日間透析することで調製した。OxLDLでは顕著にTBARSが上昇し、MM-LDLのTBARSはその1/4以下であった。J774マクロファージによるDiI蛍光標識OxLDLの取り込みはMM-LDLで阻害されず、スキャベンジャー受容体への結合性が異なった。これらは、文献上のMM-LDLの特性とよく一致した。共役ジエンや脂質パーオキサイドの生成、アガロースゲル電気泳動の相対移動度など、他の酸化変性の指標では、OxLDLとMM-LDLには差が見られず、いずれも酸化変性していることが示された。一方、MM-LDLにおいてアルデヒド型酸化PCの顕著な生成しており、OxLDLではその約1/10量しか検出されなかった。酸化PCは、マクロファージの酸化LDL認識に関わっており、また血管内皮細胞などに対する活性化作用を示すことから、酸化LDLの動脈硬化発症に極めて重要な分子と考えられている。今回、MM-LDLに酸化PCの顕著な蓄積を見出したことから、MM-LDLが動脈硬化の発症要因として機能しうる可能性を持つことが分かった。また、アルデヒド型酸化PCの生成が生体内型酸化LDLのマーカーとなることも期待できる。
|
Research Products
(14 results)
-
[Publications] Ishikawa, K., et al.: "Heme oxygenase-1 inhibits atherosclerotic lesion formation in LDL receptor knockout mice"Circ.Res.. 88. 506-512 (2001)
-
[Publications] Ehara, S., et al.: "Oxidized low density lipoprotein relates to plaque destabilization in human coronary atherosclerotic lesions"Circulation. 103. 1955-1960 (2001)
-
[Publications] Itabe, H., Takano, T.: "Oxidized low density lipoprotein: The occurrence and metabolism in circulation and in foam cells"J.Atheroscler.Thromb.. 7. 123-130 (2000)
-
[Publications] Sugawara, D., et al.: "Heme oxygenase-1 inhibits atherogenesis in Watanabe heritable hyperlipidemic rabbits"Circulation. 104. 1831-1836 (2001)
-
[Publications] Mori, M., et al.: "Foam cells containing lipid droplets enriched with free cholestrol by hyperlipidemic serum"J.Lipid Res.. 42. 1771-1781 (2001)
-
[Publications] Sakata, N., et al.: "Glycoxidation and lipid peroxidation of low-density lipoprotein can synergistically enhance atherogenesis"Cardiovasc.Res.. 49. 466-475
-
[Publications] Ohtani, K., et al.: "The membrane type collectin CL-P1 is a scavenger receptor on vascular endothelial cells"J.Biol.Chem.. 276. 44222-44228 (2001)
-
[Publications] Higashi, Y., et al.: "Distribution of microsomal triglyceride transfer protein within subendoplasmic reticulum regions in human hepatoma cells"Biochim.Biophys.Acta. (印刷中). (2002)
-
[Publications] 板部洋之, 高野達哉: "脂質・リポ蛋白質代謝の分子機構 リン脂質"日本臨床(増刊号2「高脂血症(上)」). 59. 29-36 (2001)
-
[Publications] 板部洋之: "生活習慣病と酸化ストレス"ファルマシア. 37. 805-809 (2001)
-
[Publications] 板部洋之: "酸化LDL中の酸化リン脂質とその意義"動脈硬化. 28. 63-68 (2001)
-
[Publications] 板部洋之: "酸化リン脂質と動脈硬化"循環器科. 50. 200-208 (2001)
-
[Publications] 板部洋之: "酸化リン脂質と動脈硬化"血管医学. 2. 614-622 (2001)
-
[Publications] 板部洋之 他(計28名): "動脈硬化成因カンファレンス講演記録"ライフサイエンス出版. 354 (2001)